見守ることしか出来ないけど
俺は食卓に座り、箸を動かしながらモニターを眺めていた。
「いやいや……なんでこうなった?」
スーパーで買ってきた弁当を口に運びつつ、画面の中の展開に呆れる。
セリアたちは、逃げようとしていたはずが、王様の命令で護衛までつけられて、完全に監視付きの旅になっていた。
「いやもう、無理でしょ。オークにすら勝てなかったのに、魔王幹部の支配する森に行けとか……王様、本当に髪の毛のことしか考えてないんじゃ……?」
ご飯を咀嚼しながら、俺は画面を見続ける。
そこには、明らかに不満そうな顔のセリア、何も考えてなさそうなグリ、そして無言で彼女らを見張る兵士たちの姿。
「……セリア、マジで大変だな。」
なんだかんだで、見てると少し応援したくなる。
そして、ふとグリに目をやる。
「……お前、大丈夫かよ。」
今まで通り無邪気に「ゴハン!」とか言ってるけど、あんな危険な場所に行くんだぞ。
お前はただの鳥で、戦えるわけじゃない。
「……絶対死ぬなよ、グリ。」
冗談じゃなく、もしグリが異世界で死んだら……俺は、たぶん立ち直れない。
「……ま、頑張れよ……俺はご飯食べて寝るけどな。」
そう呟きながら、俺は最後の一口を頬張った。




