セリアの実力
ゴブリンたちは混乱しながらも、じりじりと距離を詰めてくる。
「まだくるの!? しつこいわね……!」
セリアは深呼吸し、杖を強く握りしめた。
「……だったら、一気に片付ける!」
彼女は足を踏み込むと、詠唱を開始する。
「フレイムバースト!」
杖の先が赤く輝いた次の瞬間—— 爆炎が前方に向かって広がり、ゴブリンたちを包み込んだ。
「ギャアアッ!」 「グギィィッ!」
炎に包まれたゴブリンたちは次々と倒れていく。辺りには焦げた草と煙の匂いが広がった。
最後に残った一匹が、焦げた腕を押さえながら後ずさる。
「……まだやる気?」
セリアが杖を構え直すと、ゴブリンは小さく悲鳴を上げ、あっという間に森の中へと逃げていった。
「……ふぅ、なんとか片付いた。」
彼女は額の汗を拭いながら、一息つく。
「ゴハン!」
グリがのんきに羽ばたきながら戻ってきた。
「いや、あんた戦ってないでしょ!? 何してたのよ!」
「トウバツ! トウバツ!」
何もなかったかのように堂々と胸を張るグリ。
「もう、ほんとに……」
セリアは呆れたようにため息をついたが、 それでも自分の力でゴブリンを撃退できたことに、少しだけ自信を持ったのだった。
「……おいおい、マジかよ……」
俺は画面を見つめながら、思わず声を漏らした。
セリアがゴブリンを一掃した。
今まで「見習い召喚士」「可愛い女の子」としか思っていなかったが、戦闘での彼女は思った以上に強い。
「すげぇな……まさか、一人でゴブリンを全部倒しちまうとは……」
グリは戦ってないのに、なぜか堂々と胸を張っているし。
俺はちょっとした感動を覚えながら、画面を見つめ続けた。
——しかし、次の瞬間。
「……ん?」




