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プロローグ
青空の下、草原を歩く二つの影があった。
一人は、フードを目深にかぶった少女。 王国直属の召喚士、セリア。
もう一つは、彼女の肩に乗る小さな鳥。
「トウバツ! トウバツ!」
赤い尾羽を揺らしながら、奇妙な言葉を繰り返すその鳥は、この世界の者ではない。
神獣として召喚された存在——いや、本当はただのオウム。
彼らは今、魔王討伐の旅を続けていた。
……そして、それを俺はただ画面越しに見ている。
「……なんでこうなったんだ?」
俺の愛鳥、グリ。 それが異世界に転移し、なぜか神獣扱いされ、少女と共に旅をしている。
騎士でも勇者でもない一匹のオウムが、魔王を討つ旅に出るなんて……そんな馬鹿な話があるか。
けれど、この異常な事態をどうにかできるのは、グリと話せる俺だけなのかもしれない。
画面の向こうで、セリアがため息をつく。
「……本当に、これで大丈夫なの?」
俺も、まったく同じ気持ちだった。