4,兄弟姉妹についての悩みと電動バス
僕は兄が嫌いである。
悪口は言っても褒められたことが無いからだ。
いっそ一人っ子の方が良かったかもしれない。
世間一般に男兄弟は仲が悪いという事例をよく耳にする。
決して僕の場合は珍しくはないんだろうか?
「なあ、皆は兄弟姉妹はいるのかな?」
「私は妹が2人いるかな。お母さんがよく不在の時に面倒みているから」
赤尾さんの母性本能はその環境が影響しているんだろうな……
「えー私は一人っ子だから兄弟姉妹欲しかったなーなんか寂しいし」
銀竜さんはその影響でお転婆なんだろうか?
寂しがりやだから構って欲しいのか……
「俺は妹が一人いるぜ、白金、どうだ妹の妹可愛いから紹介したろうか?」
その直後、赤尾さんと銀竜さんはムッと来て迫間の足を同時に蹴った。
「いってーな! お前ら何んするんじゃ!」
「別に、白金君に変なこと吹き込まないの」
赤尾さんはそっぽを向いた。
「あんたの妹に先越されたくないわ」
銀竜さんは腕を組んでプンプンになった。
「冗談だって、本気にするなよ」
迫間は渋々謝った。
何れにせよ、兄弟の仲は悪くとも僕にはこんなに素晴らしい仲間がいるから、どうってことは無いと自分に言い聞かせる事にした。
この学園の東側には地形に沿ってサイクリングコースのような道路が敷かれているが自転車は通らず電動バスで人を乗せて北門から南門までを往復する巡回バスになっている。
しかも屋根にはソーラーパネルが付いており晴れた日はパネルから電気を供給して雨なら蓄電池から供給するので安心だ。
更に敷地内が広いので来客を案内するのに主に利用している。
各校門付近に充電スタンドがあり、電気自動車で訪問された時でも来客用の充電スタンドが用意されておりサービスが充実している。
そして自転車置き場にも充電スタンドがあり、スマホも電動アシスト自転車でも充電が可能だ。
とにかくここは環境が整っている。
公立学校は税金で賄っているのでここまでの設備投資はできない。
剣人が広見先生に改まって言う。
「先生、こんなに設備が充実していいのでしょうか?」
「白金君、貴方はまだ学生なんですから別に気にしなくていいのよ。とにかく勉学に励んでくれればそれで良いわ。両親が入学を許可したんだから3年間しっかりと勉強しなさいね」
「は、はい!」
剣人は思わずかしこまった。
何れにせよ、この件に関しては腑に落ちない部分もあるが彼は深入りしないことにした。