なぞ生物ハクマイ
最近私に家族が増えた。身長は150センチくらいの足がないまっしろな猫のような生物だ。
妹と母はそれに「ハクマイ」と名前をつけてかわいがっているが私たちはきもちわるくてたまらなかった。
父はそれがきてからどこかに姿を消してしまった。本当に…きもちわるい
「いってきまーす」四女の長月結愛は腹がたってくるほどのんきそうにそういって母と「ハクマイ」のサンポにいった。
「で、どーすんの?」
次女の長月咲希はキレぎみにそういった。
「まあまあそう言いたい気持ちもわからなくもないけれど冷静になって」
三女長月舞が聖女のような笑顔でそういう。
「舞には言ってない!!雪ねえに言ってるの!!」
正直こっちに話をふってこられるのは面倒だという本音を飲みこんでとくに言うこともなかったので黙っていると二人ににらまれたので
「まあ、おちついてよ。話し合いを始めよう。」
と言うと
「「はあ?」」
とにらまれたことはさておき話し合いを開始する。
「ねえさんったら…まあ今はいいわ。ハクマイについて一週間すごして気づいたことがあるの。」
「ふーん」と曖昧に返事をしながら続きを聞く。
「なぜか父さんとの記憶が曖昧になってきているのよね。本当に存在していたのかあやしくなってきてるレベルに。」
最初からそんな話題をだす舞にもすこしびっくりしたがたしかにそうかもしれない。といっても私はもともとあまり父とはかかわってなかったので記憶なんてもとからなかった。
「雪ねえちゃんと聞いてる?雪ねえってば!!」
「しょうがないわよ咲希。ねえさんはひとの話をよく聞かないんだから。」
「話くらい聞いてるよぉ。」
いつもは仲が悪いくせになんでこう言うときにはいきが合うのか不思議に思うが実際話を聞くのは苦手なので強くは言えない。
「とりあえず引き続きハクマイの観察をするとして結愛のことはどうするの?」
「結愛は…もう手遅れだろ…」
空気が一気におもくなる。でも私も正直結愛はもうだめだと思う。私たちはもう現実をみれる年齢だ。でも結愛はちがう。結愛はまだ小学3年生だ。それに母のおバカが姉妹の中でいちばんこく引き継がれているんじゃないかと私は思っている。
ピーンポーン
おもい空気にあわないマヌケな音が家中に響く。
「あっ。帰ってきちゃったみたいね。それじゃあまたね。」
そう言って舞は玄関に向かう。
「ちょっとまってよ。舞ってば!!」
この光景がいつまでも、いつまでも続けばいいのに。そんな悲しい願い、叶うわけないのにそう思ってしまった。