レベルE会議
日本は比較的破魔矢使いが多い国ではあるが、
やはり各エリアを隊長クラスが不在になる事
は好ましくなく、本来、外に漏れると問題
になるよう事案であっても会議は基本的に
各支部内の特殊な部屋に設けられたマシンで
のリモート会議になる事がほとんどである。
何より、霊相手に盗聴もくそも無い訳だし、
議題内容がもし、他国に漏れたとしても、それを活かした行動を敏速にしてもらえば済む話なので、話が筒抜けになる事がデメリットにならないのである。
「結局の所…オシリスは行者とリンクこそしてたが、行者を呼ぶというよりは死者を呼んだら、結果…行者だらけになったと解釈すればいいのか?」
「オシリスは本当に死んだのか?」
「何故、エジプトなんだ?」
知らねーよ笑、レイ自身が知りたい事を他人が喚きたてる無限ループになりつつあるその時、
陽華さんが、大きく議題内容を逸らす。
「問題の一つ、何故…レイ部長の攻撃は意図も簡単に通用し、アラタ本部長が対峙した堕天使には攻撃が無効だったかという事…そこを解決させない事には、また次に新手の神や悪魔が現れた時、多くの霊務官が犠牲なる可能性高いです。」
それだよ、それ。
それなんだ。けど…それのヒントはあの夢の中にあるのだろう。
それを認めてしまうと、自分が自分でなくなってしまう気がして。
「レイ部長?」
はっ
「顔色が余り優れないようですが?」
「大丈夫です。続けて下さい。」
「あの~」
「はい、スズ部長、どうされました?」
スズは四国支部の若手で、実力も霊力も申し分ない。四国のNo.2的存在である。
「前から思ってたのですが…レイさんの破魔矢って勝手に飛んでません?」
「反応速度が本人より速いように見えるのは気のせいですかぁ~?」
見事に突っ込まれた。
レイも分かってる。アラタさんやケンヤは自身の体と霊力で破魔矢を操っているが、レイにはその感覚がない。
例えるなら…レイに絶対服従な2匹の猛獣が勝手に暴れてるような状態だ。
「スマン、実際の所、俺にも俺の破魔矢の事はよく分からない。」
しばらく考えこんで出た言葉はこれが精一杯だった。