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霊務課のレイ  作者: まいまいかぶり
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オシリス

曹霊寺から戻ってから1週間程経った。


今の所、大きな事件もなく西日本地区も


含め、行者の確認報告は未だに無かった。


「結局のとこよ~、あれは何だったんだ?」


アラタが言うあれとは行者の事だろう。


「あの堕天使野郎はたまたまあの行者の存在


に気付いて、擬態して俺達を狙ったんだと思うのよ」


「これはな、今だから言うが俺、行者舐めてたから」


まあ、それは聞かなくても分かる。


行者自体にはそこまでの驚異は感じないのは事実


であり、むしろ行者に心操られた地縛霊の暴走


の方が、何やるか分からない不気味さがあったの


は間違いない。



行者はどこからやってくる?


レイは仮定する。白羽の魔神のいる異空間から


現世に誰かが行者を操り、最終的には


異空間と現世を往来出来る穴を作ろうと


してるのではないだろうか。



陽華さんの仮定が成り立つのであれば、現世の霊


を黄泉へ還すのも神の類の者だと思うし、その神


の中にも当然等級もあれば力関係もあるだろう。



「レイさん、レイさんっ」ん?通信だ。


本部にいるマキからまたD地区に大きな波動が


観測されたとの事。


「遂に来たか…堕天ぷら野郎」


「マキ、俺が行くから他の霊務官は近づかない


ようにしろっ」


「レイさん一人では危険です、…かと言って他の


隊長クラスは他県ですし…」


「俺じゃダメなのか?」ケンヤが割り込む。


「ケンヤ、お前は俺がやられた時の次の玉だ」


「負け想定辞めません?二人なら行けるかもっすよっ!」



「そうだな、相手は一人なら俺達の方がバリエーション多いかもな」


「そっすよ、レイさんになんか起きたら俺も無理」


「お前はホモか笑」


「ご一緒出来るならホモでいいっすっ笑」



仕方ねえな。「マキ、ケンヤを俺のサポに同行させる」


「了解です、どうか御武運を」




車内に搭載してある特殊なレーダーでも


D地区の霊波の大きさが凄い勢いで上がってる


のが分かる。


「こりゃ一般人にも霊障出るな…」


幸い、D地区は物流倉庫の多い地区で一般人の


居住区ではないのが救いだが、何せ霊波の


拡大スピードが速く、急がないと何が起こるか想


像もつかない。



「後5分で到着する」「俺も後15分くらいです」


もうすぐ到着するレイがふと空に浮遊する


何かに気付く。「人?」


霊波の原因はあの空中浮遊してるあれで間違いなさそうだ。


古代の衣装のような服にまた聞いた事ない語源。


その者の呪文に呼応するように行者共が


そこら中から湧き出てくる。


「レイさん、あれ、オシリスじゃないですか?」


マキが本部のデータベースで合致した者は


何とエジプトでは神と崇められた人物。



下には行者共がうじゃうじゃ。上には偉人。


陽華さんの言う通り、何かに呼応するように


色んな神が蘇ってるのか…


車から降りる。邪気が半端ない。


「アラタさん、今度はエジプトだよっ」


レイはクスッと笑うと同時に破魔矢で


行者共を斬りまくる。


オシリスは同じ場所から一歩も動かず戦況を観てる。


レイの破魔矢はレイが触らなくても動きまくる。


ある意味チートな武器。ある意味、本当に破魔矢っぽい。


「レイさんっ」


ケンヤが到着すると同時にその異様な事態に


動けずにいる。まぁ無理もない。


レイが斬った行者はもう50を越えている。


「ケンヤ、ぼおっとすんなっ!」


「はっ」


破魔矢具現化に一瞬遅れたケンヤに行者が飛び


込んで行くが、すんでの所でレイの破魔矢が


行者の頭蓋を貫通する。


「レイさん、スンマセンっ」


冷静に戻ったケンヤが破魔矢具現化する。


その型は警察で使う刺叉のような型をしてるが


穂先全体が日本刀みたいに磨がれてあり、


輪に捉えた者はそのまま斬られるように出来てる。



「レイさんっ、行者共は俺がやるからレイさんは上を」


「分かった、俺はオシリスをホーミングする」



上空のオシリスと目が合う。


レイの双竜の破魔矢が瞬時に襲いかかる。



グサッ


双竜の破魔矢はあまりに呆気ない程綺麗に


オシリスを捉えた。


「その力…」


レイの頭に直接語りかけてくるオシリス。


「こんな所にいたの…です…ね」



そう語りかけてくるとオシリスは行者と同じ


ように浄化してしまった。


行者共もこれ以上増えなくなった。





不安が現実に近付いてきてる。


「こちらレイ。D地区制圧に成功した。まだ何が


あるか分からないからもう少し様子を見る」




最後のオシリスの言葉。ケンヤは聞いていないようだ。




そして…長い夜は終わった。









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