白い羽
粉々に砕けたはずだった。
「素晴らしい力だ…少し惜しい位だ」
粉々に砕けた行者が青緑色に光りだし、そして
また集合しだした。しかし今度は形がかなり違う。
「嘘だろ?」
アラタが驚くのも無理はない。
その青緑色に光る物体は破魔矢を唯一作る事
が出来る次元にいるはずの者。
つまり【神】だ。
と言うか、神と思ってるだけなのだが、
この者はやはり何かが違う。
堕天…使か。なる程。
「そう、我々の作る物で私を破る事は不可能」
「アラタよ、お前が居なくなれば今後が色々楽になるのだよ」
「私が現世に入れる僅かな時間でお前を倒せたのは大きい」
そう言うと青白き天使らしき者は空間に出来た
割れ目から消えていった。
朦朧とする意識の中、ケンヤが必死にアラタに
呼びかける。
「嘘だろ?」レイもアラタに駆け寄る。
「レイか。ヘマこいたわ」
「アラタさん、喋らないで下さい」
「ありゃ、霊じゃねー。普通に勝つ方法なさそうだわ」
アラタの周りに落ちてる白い羽。
「これ…俺の破魔矢の羽と同じ奴か?」
「こちら本部こちら本部、D地区の邪気はほぼ消滅しました」
「マキっ!輸送ヘリはまだかっ?」
「レイっ、あれには勝てない、少し冷静になれ」
「おれは大丈夫だ」
…大丈夫な訳ない。やつは丹念に破魔矢を
具現化するのに必要な右腕を切り落として
その場を去ってる。
つまり…アラタは見せしめにわざと生かされた。
圧倒的な力の差を知らしめる為だけに。