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フィアナと再会

※フィアナ(※ヒロイン)視点でお送りします※


―――〈SIDE:フィアナ〉


吸血鬼のギルバート第2王子殿下とお会いする日、私はお父さまとお母さまと王城に呼ばれた。私からレナードさまを奪った後、すっかり飽きたらしいソフィアンナは興味本位で私に付いていきたがったが、付いていく理由がないとお父さまに一蹴されて見張り付きで私室に監禁された。


そのことに少し安堵しつつ国王陛下夫妻立ち合いの元、私はギルバート第2王子殿下とお会いした。そのかたを見て驚いた。銀色に赤い瞳。そしてその顔立ちには見覚えがあった。彼はあの辺境伯家のパーティーで出会った子ではないかと。


そして、その時私を助けてくれた男の子のことを思い出した。名前も知らない。けれど忘れたことなんてない。だってあの頃ひとりぼっちで耐えていた私を助けてくれた唯一のひとだから。


けれど今はギルバート第2王子殿下だ。

ギルバート第2王子殿下の挨拶に私がお答えしようとした時だった。突如ジュリアンヌ王女殿下が現れ、やはりギルバート第2王子殿下と婚約したいと訴えたのだ。


更に驚いたのはギルバート第2王子殿下もそれを了承し、私を自分たちの王子の妃にしたい国王陛下が王の子女同士の方が結びつきが強くなるだろうと踏んだのだ。なんでも以前人間側の王族が吸血鬼側の王族に非礼を働いたらしく、その埋め合わせのためにも是非結びつきを強めたい・・・とのことだった。


そしてそれにはさすがに両親は国王陛下夫妻に怒りをあらわにしたが、吸血鬼側に対し非礼になると無理矢理抑えつけられたのだ。

私と両親は絶望の中に落とされ、帰邸したのだった。


だが悲劇はそれだけでは終わらない。ソフィアンナの婚約者・レナードさまが婚約者のいる令嬢と浮気した上に相手を妊娠させたと言うのだ。元々婿養子を迎える予定であった浮気相手の令嬢の家はレナードさまを婿養子として受け入れ、キャメル侯爵家側はレナードさまとの縁を切った。それによりソフィアンナとの婚約も芋づる式になくなったのだそうだ。


ソフィアンナは両手で顔を隠し、俯きながらすすりり泣いていたが、私はその手と手の隙間から彼女が笑みを浮かべているのを見てしまったのだ。

・・・まさか、彼女自身がはかったというの・・・?


聞いた話ではレナードさまのお相手のご令嬢は元お相手のご令息の容姿が気に入らなかったらしく、より見た目のいいレナードさまに乗り換えたのではないか。

ソフィアンナがどうやったかはわからないが、もしかしたらソフィアンナが令嬢をそそのかしたのかもしれない。私と違って表面上美人で通っているソフィアンナには友人も多いから。


更に彼女の部屋の外から聞いてしまったのだ。


『んもぅっ!あのバカジュリアンヌ!吸血鬼が美形揃いだってことを隠して、恐ろしいバケモノだって長年にわたってり付けたのに、直前になってお姉さまからギルバートさまを奪うだなんて!あのままお姉さまが婚約者になっていたら次は私がギルバートさまをもらえたのに!』


何と言うことだろう。


ウチの公爵家の領地は吸血鬼たちの自治区と接する辺境伯家の隣にある。それ故に辺境伯家を訪れると吸血鬼側の王侯貴族と交流することが多かったソフィアンナも当然吸血鬼の容姿について人間と差異がないことを知っている。


そしてソフィアンナがジュリアンヌ王女殿下に間違った情報を与えていた・・・?そう言えば、ソフィアンナはジュリアンヌ王女殿下と同い年。公爵家と王女なのだから仲良くしていても不思議ではないが。ソフィアンナは交友関係が広すぎて、男の話題以外はすることがなかったから私もしらなかった 。ひょっとしてジュリアンヌ王女殿下が私に冷たくしたのは、カイム第2王子殿下の婚約者がソフィアンナになるようにソフィアンナがジュリアンヌ王女殿下に要求したのではないか?

私は恐ろしい仮説にぶち当たってしまった。


しかし捨てる神あれば拾う神ありと言うように、私にお父さまから告げられたのは意外な縁談だった。何と吸血鬼側が、直前になって私が婚約者を外されたのがあまりにも哀れだと心配し、代わりの縁談を用意してくれたのだ。


それも・・・人間側と吸血鬼側の土地を隔てる地域を守る吸血鬼側の辺境伯家との縁談だった。国王陛下は私が今回を含めて3回も男性に捨てられていることを挙げ、責任をもってこちらで嫁ぎ先を用意すると申し出たらしい。その嫁ぎ先はカイム第2王子殿下になるわけだが絶対に嫌だったし、それは両親も同じ思いだった。更に事情を知ったお兄さまも味方になってくれた。


国王陛下は渋ったものの、吸血鬼側から吸血鬼の王の心遣いを無下にするのかと言われれば受け入れないわけにはいかない。更に吸血鬼の王は私の意思を尊重し、その結果お父さまたちフローリア公爵家に不利益なことをするのならば、領地ごと吸血鬼の自治区にうつればいいとまで言ってくれた。そして彼らにはそれを実現させるだけの力がある。


フローリア公爵家は人間側の辺境伯家と領地を接しているので私たちの公爵家領も吸血鬼の自治区と陸続きになっている。だから境界が辺境伯家と繋がっているため辺境伯家が中心となって境界を守っているが、実質公爵家も陸続きでそのまま自治区に加わることは不可能なわけではない。


そして、私は吸血鬼のローゼンクロス辺境伯家を選んだ。


私の婚約が決まったら、私はローゼンクロス辺境伯家に向かうことになっていた。そのため両親も兄も王都での職を辞し領地に引っ込むことに決めたらしい。近衛騎士団長と優秀な魔法使いが王都を去ることに王城は大パニックになったが、国王陛下がそれを止めるのならば吸血鬼の王との約束を破ることになる。


更にお父さまの従兄弟である辺境伯さまもお父さまとお母さまが領地に来るのを大歓迎してくれた。辺境伯様の領地は吸血鬼の自治区の他に外国とも接しているのである。辺境伯さまからすれば、両親が国境近くの領地にいてくれれば安心だからである。


唯一反対していたのが妹のソフィアンナだ。彼女は王都でのパーティーや茶会に参加できず、買い物ができなくなることを渋っていたのだ。なら、使用人も引き払い屋敷も売るのでひとりで済む場所と職を見つけて王都に残れとお父さまに言われ、ソフィアンナは泣く泣く納得して領地に付いてくることになった。


そしてその準備のさなか形式として婚約者となる私をローゼンクロス辺境伯家の方々が迎えに来てくださることになったのだが、それがあんなことになるとは。再び訪れる悪夢をその時の私は想像もしていなかった。


セシナ「俺、主人公なのに忘れられてないよね?それとも、そろそろ出番かな?」

ルシウス「ハーパンショタっ子の出番はまだかな♪」

セシナ「次回は登場しないって」

ルシウス「そんなぁっ!!」


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