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辺境伯一家兄弟会議



「あの・・・あのね、冷静に考えてみてよ」

末っ子のセシナが切り出す。


「え?大丈夫だよ。お兄ちゃんはいつも現実を見据えてるさ」

と、長男のマティアスが告げる。


「いや、あんた2次元妹ヲタな上に現実の妹を重ねようとしている時点で現実は見ていないでしょ」


「ぐはっ」

末っ子の言葉に、思わず長男がテーブルに突っ伏した。


「ほら、マティ兄さんは大人しくしてなさい。ね?」

「・・・うん。わかった」

次男・ルシウスに言われ、再び長男・マティアスはとても美しい顔に涙を浮かべて頷く。


「それで、どうしたの?セシナくん」

続いて四男のゼンが口を開く。


「あの、兄さんたちは自覚がないと思うけども!兄さんたちは人間離れした美形揃いでしょ?」


「そりゃぁ吸血鬼だからな」

と、三男・ジルの言葉にがっくりときつつもセシナは続ける。


「その中の普通な俺が将来の夫だと知ったら更にその公爵令嬢の子が傷つくでしょ!」


「2次元妹ヲタと弟ヲタと解剖厨が将来の夫の方が幸先不安だと思うな、お兄ちゃん」

そう、一見まともなことを言っているように聞こえるルシウスにセシナが鋭く切り込む。


「あのね、しれっとショタコン除かないでよ。ショタコンもどうかと思うけど・・・その、兄さんたちは忘れてないでしょ!?あの事件を!!」


『あの事件・・・!』

末っ子の言葉に兄4人が一瞬にして神妙な面持ちになる。


―――〈SIDE:末っ子〉


俺たち吸血鬼の辺境伯家の兄弟は、当然のことながら人間の土地の境界に位置する辺境伯家とも代々交流を続けてきたのだ。


そして人間の土地の辺境伯には長男と長女がいた。長男は跡取り同士マティアス兄さんと交流し、俺は年の近い人間の辺境伯の長女と一緒に交流することになったのだが・・・。


「やだ!こんなのやだ!きゅーけつきはみんな美形なのに、何で私がもぶの相手なの!?私もあっちのきれーなお兄ちゃんがいい!何で兄さまだけあっちなの!?ずーるーいーっ!!」

・・・と、長女が辺境伯に泣きついたのだ。

それ以来、俺は自分の容姿がいかに兄たちよりも劣っているかを散々思い知ってきたのである・・・。


―――〈SIDE:末っ子 了〉


「・・・その一件以来、吸血鬼の土地のパーティーや隣の人間の辺境伯のところのパーティーでも俺言われたじゃんっ!」


「いや、それは一般的に高望みし過ぎな人間の悪い癖だから。セシナたんは気にしなくていいのっ!」

と、次男・ルシウス。


「まぁ・・・その、慰めてくれるのはいいんだけど、昔アンタが俺でハーパンショタっ子萌えをもよおしていた時の呼び名で呼ばないでくれない?」


「だってぇっ!お兄ちゃんそのお話聞いて思い出しちゃったんだもんっ!セシナたんの・・・あぁ、ハーパンショタっ子っぷりは素晴らしかった!」


「それはどうでもいいから次。話続けて」


「うぐぐ・・・仕方がない。続きはまた今夜にとっておいて」


「いや、今夜もいらねぇよ」


「まぁ、とにかく。兄さんたちは確かに美しくてセシナたんも思わずくらぁっと来ちゃうと思うけども」


「いや、来ねぇよ」


「とにかくとにかくねっ!?この兄さんたちのキラキラはセシナたんのためにあるもので」

「そうそう」


「どさくさに紛れてそこ肯定しなくていいからジル兄さん」


「セシナたんの容姿は一般的な人間の土地では十分イケメンです!」


「はぁ?何言ってんの?」


「ほら、これを見たまえよ弟よ」

ルシウスはボードのようなものを出す。そこには人間の王太子、第2王子の写真。その隣に末っ子の写真があり、下にたくさんの丸いシールが貼られている。


「実はウチの者に内密で人間の土地で調査させたんだけどね?この中で誰が一番イケメンかって聞いたら見事にセシナたんがダントツでしたぁっ!」


「まぁ、確かに俺の写真の下のシールはすごいけども」


「だから、セシナたんは兄さんたちと比べられるだけで、一般的に顔立ち整ってるの!普通の感性の子だったら大丈夫だから!ね?」


「え、そんなこと突然言われても」

※確かに本人は昔の件で自分自身をモブだと思っているが、イケメンの多い人間の王族にも負けていないのだ。やったね!


「もし普通の感性の子じゃなかったらどうするの?人間の王女みたいな子だったら。頭お花畑だったらマティ兄さんにクソ妹ができるんだよ?いいの?」


「え・・・何それ?お兄ちゃん知らない」

マティアスが目を見開きながらセシナをじっと見つめる。


「ダメ、ダメだから。セシナたん。マティ兄さんにその現実を突きつけたら女性アレルギーについて手の施しようがなくなるから!将来辺境伯夫人迎えられなくなるから!いい?わかった?」


「んー、それは確かにウチにとってもマイナスだから・・・我慢する」


「うん、いい子だね。じゃぁ、とりま兄さんと一緒に迎えに行ってこよっか」


「ルシウス兄さんと行くの?その場でルシウス兄さんに惚れたらどうするのさ」


「・・・殺すか?」

と、ジルがしれっと呟く。


「いや、やめろって」


「あの、遺体は俺にくれるよね?解剖したいんだけど!」

と、ゼンが目を輝かせてジルを見やる。


「いや、やめなさい。ふたりとも」

末っ子のセシナが慌ててふたりを制する。


「その、その時は・・・ウチに嫁いでもらうのは諦めるってことで、どう?」


「う~ん、さすがにセシナたんが傷つくのは嫌だからね。盛大に嫌がらせした上で断ろうか」

と、ルシウス。


「結局嫌がらせはするの?」


『もちっ』


「ハモんなそこぉ―――っ!!!」

かくして末っ子・セシナは次男(※ショタコン)・ルシウスと共に、くだんの人間の公爵令嬢を迎えに行くことになったのである。


※次回は明日更新予定です。時間は未定です<(_ _)>※

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