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2_セカイの事実

おじいちゃんが書いた本は、書かれている量は多いが、読むと全然それを感じないほど引き込まれ、ふと気がついた時には日が暮れていた。

夜になっても全く眠くない。僕は、本の内容が間違っていないことを悟った。


―約束1。眠くなったときに、必ず眠ること。


このセカイと元の世界とでは、時間の流れが違うようだった。このセカイで1日が過ぎると、元の世界で5時間ほど過ぎる。元の世界にいる自分の肉体は、常に眠っている状態であるため、このセカイでの微々たる疲れは残らないようだ。

とはいえ、このセカイは食事で栄養は補えないので、元の世界で飲まず食わずで眠っている身体は衰弱していく。そのサインが眠気であった。そして、このセカイで眠ると、元の世界に戻れる。


―約束2。魔法は使いすぎないこと。


このセカイには魔法が存在している。本の中には、ペンダントを持っていれば使用可能な魔法が3つ書かれていた。


転移魔法の「イード」翻訳魔法の「ペーラ」そして「トルル」


トルルは、生き物の力を吸収し、その力を利用して回復や防御を行う魔法だ。おじいちゃんは、トルルを応用して、バリアを作ったようである。

イードとペーラは、元の世界にいる僕の力を使って魔法を使っているようである。そのため、多用すると元の世界に早く帰らなければならなくなる。また、使い過ぎ、眠る体力すら残らなくなってしまっては元の世界に帰れなくなってしまう。


―約束3。()()()()()()()()()()()()()()ため、不殺を貫くこと


このセカイに住んでいる生き物は、食事をしなくても……命を奪わなくても……生きていくことができる。このセカイに対し、僕とおじいちゃんが思ったことは同じだった。


これが、本来あるべき世界。生きるために不幸になる生き物が存在しない世界だ。


僕は本の最後のページを見る。そこには地図が書かれていた。オウサマの場所の近くには、エルフの集落があるようだ。エルフは魔力が高い生き物である。魔法を使えたり、教えることが出来たりするエルフもいるようである。少しだけ迷ったが、知識の有無で後々差が出るかもしれない。エルフの存在も気になるので、エルフの集落へ向かった。

しばらくして、集落の様な場所が見えた。その集落へ足を踏み入れようとした時、頭上から甲高い鳴き声が聞こえた。

『―――――――!!―――!!―――――――――!!』

見上げると、ウサギの耳をしたフクロウともいえる生き物が鳴いていた。確か、フフというマモノのはずだ。あいにく言葉が分からないうえ、通じない。僕は、生まれて初めて魔法を唱えた。

「ペーラ!!」

すると、フフの声が聞こえるようになった。正確には、フフが鳴いている声を言葉として理解出来るようになった。

『おまえはだれだ!!あやしい!!ここにちかづくな!!』

僕はフフが使っていた言葉で応えた。

『べつせかいのヒトだ!!オウサマにたのまれてきた!!』

僕は危害を加えないことを伝えるべく、本を地面に置き、両手を上に挙げた。ペンダントがチラリと姿を見せた。

フフはそれを見つけると、バサバサ威嚇していた羽根を畳み、静かに鳴いた。

『オウサマのナカマ。つれていく。』

フフは飛びたった。僕はついていく。

しばらくして、フフはある石の上で止まった。それは、集落の入り口であった。フフがひと声鳴くと、外にいたエルフが一斉にそちらを向いた。

黒い髪に黒い瞳。灰色かかった肌に、ツンと尖った耳…。


僕は、ブラックエルフの集落に着いた。

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