09 魔法
本日は二本同時に投稿しています。
こちらは二本目になります。
よし、魔法だ。
魔法は基本的になにも変わってないといえる。ゲームのまんまだ。
召喚魔法が大改修されたみたいだけど。
魔法にはランクがあって、下から――
素人、見習、玄人、熟練、達人となっている。
当然、上に行くほど強力な魔法になるわけだ。まぁ、達人級の魔法は扱い辛過ぎて、一部を除いてほとんど使わないけど。
正直、無理矢理覚えるものでもないと思ったしね。
いや、ゲームだと達人級は、七面倒臭いクエストをクリアしなくちゃならなかったりするんだよ。特に攻撃魔法はヒントもロクに無しにフィールドを彷徨う羽目になるし。
目的地は何処よ! って、半ばヒステリー起こしながらやってた思い出が。
魔法の項目を開いて、召喚魔法を確認。
……魔人召喚はもとより、精霊召喚も消滅してるな。
代わりにスケルトン召喚がはいってる。
スケルトン、スケルトン兵、スケルトン弓兵、英雄スケルトン、覇者スケルトン。……スケルトンチームって、本当に入ってるよ。なになに……各スケルトン計五体を同時召喚。
……強すぎませんかねぇ。これ召喚しておけば、どんな窮地からでも脱出できそうな気がする。
あ、ちょっと待ってよ。召喚の最終パーク。二重召喚で、もしかしてこれ二チーム召べる!? え、一気に十体召喚? 酷いことになりそう!
あとは、あぁ、【魂狩り】が消えてる。このゲーム、魔法の武具の材料に魂を使うんだよね。で、召喚魔法に魂を奪う魔法があったんだ。まぁ、刈り取った魂を入れる特殊な宝石が必要だけど。あ、その辺どうなってるんだろ? さすがに魂を使うわけがないだろうし。付与魔術のところに書いてあるかな? まぁ、それは後で確認しよう。
うん、召喚魔法はなんというか、大分縮小化してるな。メインだったんだけど、それはスケルトンの性能次第か。英雄スケさんが魔人並みに強ければいいんだけど。
さて、他の魔法は……あぁ、生きるのに便利な魔法が追加されてるのね。
変成魔法に【清浄】って魔法が追加されてる。
……なんで変成? 回復じゃないのかな?
対象の埃、汚れ、老廃物、雑菌を除去と書いてある。汚れは球状になって近くにおちるらしい。
えーと、お風呂要らず? べたべたになった髪とかサラサラになるのかな?
こればっかりは試さないとだめだな。
あ、【魔力変換】が仕様変更されてる。効果が逆になってる。
もともとは生命力を魔力に変換する魔法。別名、自殺魔法。それが魔力を生命力に変換する魔法になってる。
あ、注意書きがある。
『これを使えば、餓死することもないよ。空腹は満たされないから辛いけれどね』
……最悪、これからの一ヵ月はこれに頼ろう。
餓死で気になったけど、水とかあるのかな? あ、回復魔法に追加されてる。【聖水】だって。文字通り対アンデッド特攻のついた水。飲用可。とのこと。
不死の怪物、ゾンビとかに使うよりは、飲用に使う方が多そうだ。
いや、『爽やかな飲み心地』とか、どこの飲料水のキャッチコピーですか。
ん?
【聖王水】:王水を聖別した最強の聖水。いかなる生物であろうと粛清する。
……なんて恐ろしいものを。いや、常盤お兄さん、なんて魔法を作ってるんですか。というか、わざわざ聖水にしなくても、王水ならそれだけでアンデッド溶かせるでしょ。危険すぎるから、こいつは封印だ。
あと目について変更されてたのは、魔法罠が各魔法ごとに設置できるようになってた。ゲームだと、ひとつしか設置できなかったからね。
さぁ、ここから魔法のメインだ。
普通の魔法はここまでにして、一番気になる竜語魔法だ。
竜語魔法。竜が使用する専用の魔法。呪文がそのまま魔法の力を持つという、特殊なものだ。
ぶっちゃけた話、日本でいうところの【言霊】だ。
ひとつの魔法はみっつの言葉から成り、言葉を重ねるごとにその威力、効果が増す。
三語>二語>一語ということだ。
特筆すべきは、魔力を一切使わないということだろう。そのかわり、喉を酷使するから、クールタイムが発生するけどね。
竜はクールタイム無しで連発するけど、そこは人間と竜との違いということだろう。人間は竜ほどに頑健ではないのだ。
これがゲームでの仕様だけど、こっちではどうなったんだろ?
竜の頭がアイコンになっている竜語魔法項目をタップする。
あ、あれ? 雑貨にとばされた。
あ、なんか紙が吐き出された。
なになに……『竜語魔法の仕様変更について』。
うわぁ、嫌な予感がする。こんなことになってるってことは、相当な変更が起こってるんだ。
ぬぅ、覚悟して読むか。
……。
…………。
………………。
読み終わった。
うん。結論からいうと、竜語魔法自体には変更はない。ただ、発動周りが少々変わったということか。やりようによっては、やりやすいかな。
まず、この世界には竜が存在している。うん、竜、いるんだ。いきなりネタばれだけど仕方ないね。
で、彼らは動物扱いではなく、普通に高度な知能を有し、独自の言語をもっているとのこと。
この時点で、ゲームの竜語の使用はやめた方がいいと結論。そのため、発動を日本語に切り替えたとのこと。
ただ、それだと三段階に分けた発動法が非常にやりにくくなる。
まぁ、そうだよね。竜語魔法の看板といえるのが『トスィ・クォシ・ダー』だし。魔法名は『揺るがぬ力』。まさか『揺る・がぬ・力』なんていって発動させるのもねぇ。三語ならともかく、一語での発動だと、訳が分からないよ。
そんなわけで、若干長い三語での効力発動用の文言だけ、各魔法に記してあるそうだ。それを唱えれば、三段階目の威力で魔法が発動する。
じゃ、一段階、二段階で発動したいときはどうするの? とうことだけど、発動ワードを設定できるようにしてあるとのこと。
例が載ってたよ。
例えば一語だけで十分にことたりる、最凶最悪の呪文である【死の宣告】。
三語威力の文言は『我、汝に死の命運を与えん』になってる。仰々しいな。それとちょっと長いか。で、一語の場合はこんな風に登録しろと。
『死ぬがよい!』
……常盤お兄さん、遊んでませんか? いや、効果を考えるとぴったりですけど。私がプレイしていた時のメイン魔法ですけど。防御力超低下の永続デバフなんていう恐しい呪文。重ね掛け可。
ま、まぁ、なんとかしよう。設定は日本語にしておけば、こっちの人は誰もわからないだろうとのこと。まぁ、分かるのは召喚されたふたりくらいだろうし。
……クズみたいだから、始末してしまえば問題ないよね。ふふふ。
ものによっては英語で設定したほうがいいかもしれない。
うん、それはおいおいやっていこう。
ひとまず、一番使うやつだけ覚えておこう。あ、大抵一語でしか使わないやつばっかりだ。適当に言葉を設定しておこう。
『死ぬがよい!』は、これ以上ピッタリなのはないから、このままで。『死ね』だとうっかり云いそうだからね。
あ、竜語魔法はもはや竜語ではないから、名称を変更するとのこと。
竜語から言音に変更とのこと。最初は真言にしようとしたらしいけれど、それだと宗教的な感じに思えるから、言音にしたとのこと。言霊ともちょっと違うしね。
あ、竜語魔法の項目のアイコンが、竜の頭から人の頭に変わった。
常盤お兄さん、凝りすぎ。というか、あの二時間くらいでここまでやったのか。凄いな、お兄さん。
よし、次、気になった付与魔術。魔法の武具、アクセを作る生産系の技能。
さっきも云ったけど、ゲームだと魂を材料に魔法を付与する。
が、実際にそんなことするわけにもいかないので、こちらでは魔力を用いる。
さっき見落としたけれど、召喚魔法に【魔石錬成】って魔法があるとのこと。
極小、小、中、大、特大と、魔法の技量によって作成できる魔石のサイズが変わる。……これ、魔法発動補助装備つかって、無理矢理特大サイズとか作れないのかな? まぁ、今度試してみよう。
で、これを使って魔法を付与していくんだけれども、四作目の仕様も追加されているとのこと。つまりだ、付与魔術用の魔法(?)だけでなく、普通の魔法も付与できるとのこと。さすがに言音魔法は無理だけど。
これがどういうことかと云うと、鎧に攻撃魔法を付与したりすると、身に着けるとダメージを受け続ける鎧になるのだ。
いや、そんなの創らないけどね。
……透明化の呪文を付与したらどうなるんだ?
あ、書いてあった。
常盤お兄さんも考えたのか。
……あぁ、身に着けた途端、鎧だけ透明になるのね。ということは、服を着たのに全裸という訳の分からない状態に。しかも着てる本人には見えると。リアル裸の王様じゃないですか。やだー。
あ、裸の王様はそもそも服を着ていませんでしたね。騙された哀れな王様ですし。
うん、アホなことを考えるのはやめておこう。いまから変な装備を作ることを考えてどうするんだ。
付与魔術は、付与できる魔法が増えただけで、特に変わったことは無しと。
よし、最後に錬金だ。
魔法薬の作成だけど……あぁ、変更部分はなにもないね。
素材に関しては、こちらの素材を開拓することくらいか。まぁ、インベントリに入ってたのを栽培するだけでもいいけど。
あ、そうだ。ゲームではどうしても作れない薬があったんだ。それを創ることを目標にしよう。
作れなかった薬。それは解毒薬。
なぜ骨折をも癒す訳の分からん万病薬があったのに、解毒薬がなかったのか。
まぁ、いいや。
ドクダミとか素材になりそうね。
よし、確認はこんなところでいいかな。
ここからは修行だ。
とりあえず、城内を問題なくうろつけるようにならないとね。
さぁ、がんばるぞぉ。