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08 技能

本日は同時に次話も投稿しています。


19/07/18 脱字修正しました。


 さて、それじゃ取説を読もう。

 ……自分の取説を読むとか、どう考えてもおかしいけど。

 というか、いまの私の体が作り物と考えると、確実にアダルトグッズ的な取説ってことになるよね?


 ……。


 いや、アホなことを考えるのはやめとこう。こんな思考してるから残念美人とかポンコツとか云われたんだから。


「インベントリ」


 とりあえず【灯光(メイジライト)】の魔法の要領でやってみる。

 お、目の前にさっきのステータス画面みたいなのが出た。

 これは黒地に白抜きで表示されてる。

 うん、見慣れた(ユーザー)(インターフェース)。MODで導入した奴だ。元のだとえらい使い勝手が悪かったんだよね。


 現在開いているのは★の項目。

 確かここはお気に入り登録の項目だったよね。登録していないから、もちろんなにもない。

 というか、お気に入り登録とか、装備や魔法のショートカット用だよね? リアルの場合意味があるのかな? ショートカットキー的なものがあるわけじゃなし。


 いや、悩む前に取説を読むんだ、私。


 自分に突っ込みをいれつつ、一番右のタブ、雑貨の項目をタップする。

 って、なんかいっぱい入ってるな。鍋とか皿……台所用具一式だこれ。それと……うわ、錬金台とか付術台まである、

 ん? これなんだ? おぉっ! 魔法の合成台まである。

 って、取説探そう。何処だ? あ、あった。


 一番下の本のアイコンをタップする。

 すると目の前にポンと本が出てきた。


 あ、危な!


 危うく取り落としそうになり、慌てて本を掴む。


 【深山菊花:取扱説明書】


 ……。


 なんだろう……うん、なんだろうね、この感じ。

 なにか釈然としない感じだけど、まぁ、いいや。読もう。



 ……。

 …………。

 ………………。



 読み終わった。


 今の私の体は、ゲームの(プレイヤー)(キャラクター)状態にあるわけだけど、ゲームとリアルは当たり前だけど違う。

 ゲームにはレベルがあり、PCのレベルが上がると、その体も強靭になっていくわけだ。

 つまり、パワーレベリングなどしようものなら、


『ほら、トム、パワーレベリングなら、朝はヒョロヒョロガリガリだったこの少年だって、夜にはムキムキのマッチョになれるのよ!』

『なんだって、ジェシー! それは本当かい!?』


 なんてこともできるわけだ!


 ……いや、ねーよ。リアルでそんなことあってたまるか。努力とかはどこへ行った。

 まぁ、これはゲームでの仕様だ。だからもちろんリアルではありえない。なにしろレベルなんてないからね。そもそも、この体の元になったゲームのレベルUPは特殊で、モンスター倒してのレベリングなんてできないよ。経験値=上昇した各技能のレベルの合計なんだからね。

 なので、体を鍛えるなら普通に頑張るしかないのだ。


 ではMP(マジックポイント)、いわゆる魔力(個人内包魔力というらしい)はどうなのかというと、これも魔法を使うことで徐々にだが増えるらしい。

 でも効果的な鍛え方が書いてあった。さすが常盤お兄さん。


 やり方は簡単。魔力を空っぽにすること。

 消費した魔力は、時間と共に回復するわけだけど、これを著しく消費しほぼ空になると、超回復という現象が起こるのだ。つまり、普段より早く回復するわけだ。

 これが起こると個人内包魔力の容量が増える。

 どういうことかというと、


 容量百の容器があったとしよう。魔法を使うと中の魔力が消費され、時間と共に回復し、ぴったり百に満たされる。だが空になるまで魔法を使い、超回復が起こると、回復の勢い余って百の容量に百以上の魔力を詰め込むことになるのだ。

 結果、無理矢理詰め込まれた魔力によって、容量が強引に増やされる。ということらしい。

 もっとも、十余計に詰め込んだから、容量も十増えるということではないらしい。せいぜい、二か三とのこと。それでも容量が増えることには変わりない。


 これはいいことを知った。この後でやる魔法修行でしっかり生かそう。

 恐らく魔力は、私の生命線になるだろうからね。


 ……これ、完全に回復する前に魔力を消費すると無意味になるのかな? よくわからん。まぁ、完全回復するまで待ったところで、なにか問題あるわけじゃないしね。空→満タンを繰り返そう。


 次に技能。こちらも普通に修行していけば、習熟していく。

 うん。普通だ。

 ただ、習熟の度合いが一部ゲーム仕様になっているらしい。だから習熟度に関してはレベル表記になっているとか。


 ……レベルの簡単なあげ方を知っていれば、あっさり達人になれるなこれ。

 まぁ、その一部に限られるけど。あ、魔法全般はその一部にはいるのね。

 この辺はチートっていえばチートなのかもしれないけど、ゲームでは普通に仕様だしね。一部の技能を除いて、大半はレベル上げが異常に面倒臭いし。それはそれ、これはこれ。の精神できっちり利用していきましょう。


 でも技能ってどうやって確認するんだろ?

 取説で見落としたかな?


 もう一度、ざっと読みこむ。


 あ、あった。インターフェースで出てくるのね。


「インターフェース」


 あ、インベントリとインターフェースは、使うことを意識するだけで出来るみたいだ。魔法に組み込まれているだけで、実際のところはスキルみたいなものだね。

 眼前に誰でも見えるように表示させなくても、自分の視覚のみに表示させることも可能。その場合は視点で操作する感じになるみたいだ。


 とりあえず今は目の前に画面を出して、指で操作する。


 目の前に十文字の描かれた画面が現れた。


 左が魔法、右がアイテム、上が技能で、下が――


「あれ? マップじゃない。単純にマップデータがないのか、それとも使用しないのか。まぁ、いいや。いまは技能だ」


 上の技能の文字をタップ。


 すると、星座を模した各種技能の画面へと変わる。星座が各技能の特殊能力を示すツリーになっており、星に当たる部分のパークを開放していくことで、そのパークの能力を使えるようになる。PCのレベルがひとつ上がるごとに、パークを開放するポイントがひとつ貰えるのだが、それはゲームの話。

 なにしろレベル概念が消失しているのだから、そもそもポイントを得られない。

 既にすべてのパークは解放済み。ただし、解放レベルにまで技能が習熟しないと使えなくなっている。

 パーク解放に関してはかなり楽になってしまっているけれど、こればかりは仕方がないか。

 技能もいくつか変更されている部分があるみたいだけど、これはあとでじっくり見よう。


 次はアイテムを確認。

 タブは、左から★、全体、武器、防具、薬物、食材、錬金、書物、鉱石、宝石、雑貨となっている。うん、一部変わってるな。巻物と鍵が消えてる。代わりに鉱石と宝石が入ってる感じか。

 そうそう、★は装備のセット設定用らしい。全身の装備を設定して名称を入れて置けば、一瞬で装備を変更できるとのこと。


 おぉ、リアルで変身できるわけですね。


 まぁ、そんなポコポコ装備変更するとは思わないけど、便利そうではある。

 で。インベントリの中身全体をみると、本当に大量に入ってるな。


 まずは武器を見てみよう。

 ……うん、鉄のナイフが一本入ってるだけだよ。

 まぁ、武器はいずれ自分で作るつもりだからいいか。魔法で出すこともできるし。


 それじゃ防具。

 ……打って変わって多いな!

 あ、竜司祭の仮面が全部入ってる! ってこれ、デザインがMOD仕様だ。

 デザインといっても、カラーリングが変わってるだけだけどね。


 あとは……暗殺者シリーズと、魔術師のローブ……学生ローブが各種。魔法の付与されていない鎧がいくつか。重装がドワーフと黒檀鋼、竜骨、魔人に骨。軽装が革とグラスとエルフと竜骨にキチン。まぁ、現状では使わないなぁ。キチン装備は個人的に大好きだけど。蟹装備とか云ってたけれど。いや、蟹は全然関係ないんだけどね。関係してるのはバッタだ。


 装身具は……あ、各種魔法補助の魔法の掛かってるのが沢山。銀の指輪、ペンダント、サークレットで各種。他は耐毒や疾病避け、あ、装備重量のふえるペンダントまである。これユニークだったよね。確か防御力もUPする優れもの。


 ふむ、さすがにアーティファクトはなかったか。まぁ、個人的に好きな竜司祭の仮面があったからいいや。ふふふ、仮面にべったりと手形が張り付いてるデザインのがお気に入りなのです。暗殺結社ブラッドハンドの象徴みたいで、これ付けて暗殺プレイしてたからね。こそこそする時のメイン装備が既に確定です。


 早速、装備のセット設定をいくつかして置こう。


 ……これ、中身未設定の状態で早変わりするとどうなるんだ?

 やってみよう。


 うわぁ、素っ裸になったよ。これはだめだ。ついうっかり町中でやらかしたらただの露出狂だよ。あ、制服はしっかり防具欄に入ってる。うん。ただの服だから防御力なんて欠片もないな。

 と、それじゃ、さっき登録した眩惑魔法修行セットを装備。


 おぉ、一瞬で着れた。


 結構着心地がいいな、学生ローブ。見た目はローブというより、チュニック? とズボンの組み合わせだけど。それに袈裟懸けするように布を巻き付けたようなデザイン。あ、帯にもなるのか、これ。そしてベルト付きのポシェット。うん。いいね、動きやすい。

 ブーツも意外と履き心地がいい。でも全体的にちょっと柔らかいな。硬いものを蹴飛ばしたら、あっさり足を痛めそうだ。


 次は薬。回復系の薬が各種十本ずつ入ってた。


 食糧。塩。他は無し。かなり重要な気がする。錬金素材でもあるけど、こっちに分類されてるな。


 錬金素材。大量。……あれ? これゲームで見たやつっぽいんだけど。え? リアルに創ったんですか常盤お兄さん!? ……増やせる奴は増やしちゃうけどいいのかな? 温室作って植えるよ? あ、入ってるのは栽培できそうなのだけだ。さすがにヤバいのは入ってないや。心臓とか。規制の入ってた怪し気な肉とか。


 書物。なんで『俺のパンを捏ねろ』のアレだけが入ってるのよ。しかも続編と特別編まで。


 鉱石。大量。……いや、あの。なんでドワーフ合金とか黒檀鋼とかの各種インゴットが入ってるんですかね? これ架空の金属だよね? 水銀のインゴットとか、現実だとあり得ないものまであるし。ま、まぁ、あるなら使わせてもらいますけど。


 ……常盤お兄さんが怖くなって来たな。


 宝石。たくさん。手紙が入ってた。換金して初期資金にしなさいとのこと。

 いや、ありがたいんですけど。各種合わせて数十キロになりそうな量は多すぎると思うのよ。財力MAXとかいってたけれど、やりすぎじゃないかしら? アクセサリーの制作に使おう。


 雑貨。各種食器とかの台所用品。洗面具。それとなぜか和箒が十本。そういえばお兄ちゃんが四作目のほうで、魔法の杖扱いの箒のMODをいれてたなぁ。私がそれをつかって、戦うメイドさんやってたけど。背中に箒を担ぐメイドはシュールだったな。それ以上に箒から飛び出すファイアボールの方がシュールだったけど。


 あとは、生産に必要な施設各種。どこかに拠点を持てたら、薬とかアクセサリでも作ってのんびり暮らしたい。


 よし、それじゃ次は魔法の確認だ!



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― 新着の感想 ―
[気になる点] パンなんだ・・・ しかも捏ねるのか・・・
[一言] ここまで読んできましたがやっぱりこれゲームってTESシリーズですよね?UIで確信しました。私はⅤをps4でやってまして...。 まぁ、何が言いたいかというと好きなゲームなので、こういう元ネ…
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