12 よし、脱出だ
19/07/05 菊花の悪戯リストの漏れを修正。魔法罠をすっかり忘れてた。
私、ユーヤ。ずっとあなたの後ろにいるの。
ふふふ。嫌がらせの準備はしてきたのですよ。
昼間、食堂におじゃまする前にまたしても厨房へと行き、まさに戦争中ともいえる料理人たちを見物。
その際、鶏を絞めている下働きを発見。
絞めたばかりのを一羽拝借しました。なんだろうね、十羽くらいまとめて絞めてから血抜きするつもりだったのかな。
……まさか血抜きしないとかないよね。生臭くて酷いことになるよ。
いや、鶏じゃないけど、魚で経験あるからね。お兄ちゃんが友達からもらったっていうマダイが血抜きしてなくてね。凄い残念なことになったんだよ。
あ、鶏を拝借してきたのは、血が欲しかったからだよ。もちろん、肉もいずれ調理して頂きますが。
インベントリが時間経過しないからできることだね。鮮度が落ちないから。
次に資材倉庫? へと行き、羊皮紙十数枚と羽ペンを数本にインク、ついでにその他諸々を拝借。
牢で寝て、起きた後に嫌がらせの準備。
鶏の血を抜いて、その血をインク代わりに、さっきの文言を羊皮紙に書き込み。
羊皮紙に羽ペンで書くなんて、書きなれていないのもあいまって、おどろおどろしい感じに仕上がった。もっとも三枚目からは面倒になって、指で直接書いたよ。余計に怖くなったけど。
いやぁ、【自動言語習得】をアレカンドラ様に貰っててよかったよ。でなけりゃ、こっちの文字で文章なんて書けなかったもん。
あ、自動言語習得は、ゲームでいうところの祝福の欄にはいってたよ。
例の鑑定で見えるステータスにはいってなかったから不思議に思ってたんだけど、私の、いわゆるPCとしての能力の方にはいってたみたい。
で、どうせなにもないだろうと思ってた祝福の欄をみたらびっくりしたよ。
ゲームで得られる祝福が軒並み入ってた。
回復魔法の回復上昇とか、ドワーフの知識(鍛冶とか金属加工)とか、本来ならひとつしか得られない、黒き書物の効果三種類とか、異性への攻撃力UPなんてものまで。
……ゲームだとこれらの祝福の出どころは別個だけど、ここだとアレカンドラ様の自動言語習得を除けば、全部、常盤お兄さんが出どころだよね。
あの、頑張りすぎなんじゃないでしょうか?
なんとなくわかるんだけど、これは『愛されてる』んじゃなくて、やるからには徹底してやるっていう、職人魂みたいなものの結果だよね。
別の言い方をすると『全力で遊んでる』って感じ。
もしくは『なぜベストを尽くしたのか?』というところか。
それぞれの効果自体は大きくはないから、チートとは言えないだろうけど、此処まで揃うとどうなの?
いや、こうなってる以上はいいけど。ありがたいし。
さて、まずはどこから行こうか。
王様の執務室かな。
ということで、執務室に侵入。ちゃんと警備がいないかとかも調べてからの侵入ですよ。忍者みたいな警備がいないとも限らないからね。
言音魔法の【霊気視】が大活躍です。
さてさて、王様、結構忙しいのね。書類がたくさん。ここに私の書いた悪戯の奴を紛れ込ませてと。
よし、次。
王様の寝室へGO!
夕べと昼間、散々探索したから、すでに場所は把握済みですよ。離宮、あれ? 後宮だっけ? まぁどっちでもいいや。そこへは、なんか嫌な予感しかしないから行かなかったけど。
失礼しまーす。といいつつ、寝室に侵入。入り口に警備の騎士がふたりいたけど、退いてもらったよ。
言音魔法の【声送り】。声を送るというか、目標、壁とかに向けて撃つと、そこから悪口雑言を云うというもの。注意を引く魔法かな。どうも催眠的な作用もあるらしく、その声を聴いたものは『悪口、確かめずにはいられない!』って感じになるみたいだ。
いや、『ば~か』って云っただけなのに、血相変えて廊下の向こうに走って行ったからね。職場放棄して。
当然、その隙に部屋に侵入しましたよ。え、脱出はどうするのかって? もちろん窓から逃げますよ。
そんなわけで寝室です。さすが王様の部屋、いろいろ豪華です。天蓋付きのベッドなんて、初めて見たよ。
えーと、王家の指輪はどこだろ? 昼間確かめたんだよね。王様、王家の紋章の入った指輪をしてるんだよ。多分、王の証のようなものではないかと思ってるんだけど。
あ、あった。サイドテーブルに置いてある。ちょっと拝借。
【テスカセベルム王家の指輪】
・テスカセベルム王の証。建国以来、王に受け継がれるルビーの指輪。
うん、普通の指輪だ。
でもこれルビー削って紋章刻んでたのね。刻んで、金を埋め込んである。
これだけの大きい石を、勿体ない気がするよ。
まぁ、これから悪戯の素材になるんだけどな!
それにしても、王様はひとり寝か。お后様はどうしたんでしょうね? 関係は冷え切ってる? まぁ、どうでもいいか。こっちとしては、警戒対象がひとりなぶん、気持ちやりやすいしね。
隅っこに移動して、付術台を出して、魔石出して、よし、魔法付与だ。
……嫌がらせが人生初の魔法付与になるとは。
指輪置いて、魔石置いて、両手をついて、集中。
付術するのは【恐怖】の魔法。知ってる魔法ならなんでも付術できるようになっててよかったよ。ということで、どん!
ばぢん!
ちょっ! うるさっ!
慌てて指輪と付術台をインベントリに回収。影に隠れる。
……。
……。
……。
ふぅ、王様、起きなかったみたいだ。
【テスカセベルムの王家の指輪】
・効果:恐怖
・テスカセベルム王の証。建国以来、王に受け継がれるルビーの指輪。
・身に着けるとそこはかとない恐怖に襲われる。
ふふふ。呪いの指輪ができあがりましたよ。鑑定されたらバレるけど、暫くは気が付かないだろう。この微妙な恐怖というのがミソだ。あまり強いと、すぐに指輪が原因とバレるだろうし。感覚的には、怪談を聞いた直後のような状態が延々とつづく感じかな。夜、ひとりでトイレに行くのが怖い、みたいな。
それじゃ、サイドテーブルに置いてと。
あ、この血の手紙も置いときましょ。うーん、引き出しからはみ出す感じで。
よし。あとはスリの練しゅ……う。あ、王様お財布もってない。くすん。
気を取り直して次に行こう。
窓から脱出し、厨房裏口から再侵入。食糧庫から全体的にちまちまくすねて、大臣や髭親父のところへ例の手紙を置いていく。あ、あの髭親父は枢機卿らしい。
教会の階級なんてわからんからどの程度の地位か知らないけど、かなり上の筈。
それと、適当な騎士さんの目に留まるところに、私の分身も出しておく。
ゲームではプレイヤーが使えなかった竜語魔法。言音魔法となったこっちでは使えるようになっている。いまの私の姿が半透明の幽霊みたいな姿で出現するから、制服に着替えてツインテールに。あ、顔が変わってるのか。前髪を垂らして顔を判別しにくくしとこ。
かくして出現した私の分身。……うん、前髪垂らした俯き加減で佇む、青白くほのかに光る人間。しかも髪の間から覗く目が恐怖を演出。どこからみても、恨みを持った幽霊です。
あはは、見つけた騎士さん、二度見して腰抜かして逃げ出したよ。
少ししたら矢を射られて消えた。
あの分身、衝撃をうけたらすぐ消えちゃうからね。今回の場合は丁度いいや。
あと二、三回適当なところに出そう。でも間は開けた方がいいな。大騒ぎになったら面倒だ。
そのあと、いろいろ動きまわり、スリの修行をしつつ、手紙をナイフでドアに張り付けたりしてうろうろ。
そうそう、謁見の間に行って、玉座に最大級の悪戯をしてきたよ。
玉座に魔法罠を仕掛けたのさ。仕掛けた魔法罠は【錯乱】。踏むと周囲の人間を無差別に攻撃する、一種の洗脳系の罠だ。それなりの範囲があるから、座った王様はもちろん、そばに控えている人も巻き込まれるかな?
ふふ。明日、王様は大変な事になるね。
そして、厩の裏にまで来たんだけれど、あのアジア人発見! って、なんか血なまぐさい……。アイツ、なにやらかした? まあいいや。予定通りやるだけだ。
『――――――――』
アジア人に向かって言音魔法を唱える。
魔法は直撃し、アジア人の体表面に、蜘蛛の巣のような紫色のエフェクトが掛かっている。もっとも、これは私にだけ見えるものだ。
魔法を受けたことを感じ取ったのか、キョロキョロしてるな。
あ、首を傾げて帰って(?)行く。
……あいつ、なにしてたんだ? 嫌な予感しかしないけど。
表側にまわる。あれ? 馬がいないな。出払ってるのか。
あっ。
足が見えた。
厩に併設されている、飼葉を詰め込んである倉庫の入り口に誰かが倒れていた。
周囲を警戒しつつ向かう。
倒れていたのはメイドの女の子だった。王城付きのメイドだから、身元のしっかりとした、それなりの家の出の筈だ。そんな少女が倒れていた。
着衣は殆ど乱れてはいない。だが血塗れだ。
喉を切られてる。気管にまで達しているのか、笛のようにヒューヒューとした音。呼吸は浅いけれどまだ息がある。
見捨てる訳にもいかないよね。
回復魔法を掛ける。念のため、回復薬も飲ませておこう。……飲めるかな?
あ、大丈夫だ。なんとか意識はあるみたいだね。
「聞こえる? 傷は治したから、もう大丈夫だよ」
……大丈夫だと思いたい。結構出血してたからな。だから回復薬を飲ませたんだけど。いや、血の代わりにならないのはわかってるよ? でもほら、魔法よりは、ね。水分があるし。
あ、こっちに視線が向いた。でも焦点があってないね。
「あ、あの、英雄、様、は……」
途切れ切れに云う。
「あなたをこんな目に遭わせた男?」
私が云うと、少女は微かに頷いた。
「アレが、異世界から来たというのは知ってる?」
単刀直入に訊ねてみた。少女は首を振る。
なるほど、このあたりの情報は秘匿してるわけね。
「アレは枢機卿が召喚した異世界の人間。これまでに数えきれないほど女を犯し、殺し、焼いてきたただの人殺し。英雄などではないわよ」
そんなことを云ったら少女はボロボロと泣き出した。
あぁ、面倒臭いことになりそうだな、これ。
多分、連中にとって大事なのは、クズ二人>メイド少女、だろうから、この子ここにこのままいたらロクなことにならないよ。それにアイツ、この子が生きてたら殺そうとするんじゃないかな。どうしよ。助けちゃったしなぁ。
「聞きなさい。あなたはここから逃げなくてはなりません。あの男はあなたを殺したと思っているでしょう。ですが、こうして生きていると知れば、確実にあなたを殺そうとするハズです。あなたは、あの男の正体を身をもって知ってしまったのですから。大丈夫。あの男は近く命を落とすこととなるでしょう。それまで、あなたは実家にでも戻り、守ってもらいなさい。いいですね?」
とりあえず適当なことを云った。あ、女の子はしきりに頷いてる。
パニックになってる人は、誰かから命令されるとその通りに動くってのは本当だな!
よし、それじゃ、私は影に紛れてフェードアウトだ。
うん。心配だから【透明変化】を掛けて見てたけど、あの子は立ち上がって早足で使用人たちの宿舎(でいいの?)へ帰っていった。ちょっとフラフラしてるけど、大丈夫そうだな。
そうだ、お手紙を一枚増やそう。ある意味勝手に名前を借りるようなことになるけど。謝って許してもらえるかなぁ。けっこう、わがまま云ったし。
……。
よし、完成。微妙に言い回しが間違ってる気がするけど、時間もないしいいや。
さぁ、次は私を蹴り飛ばした騎士ふたりと、顎割れマッチョだ。
あ、その前にこの手紙を礼拝堂に持って行かないと。アンララー様の立像の前に置いておこうと思うんだけど。いや、理由は、こんなことをしても赦してもらえそうってだけなんだけど。後でなんとか謝っておかないと。
あぁ、そうすると、アレカンドラ様経由になるから、アレカンドラ様にまで迷惑掛けちゃうのか、ほんと、謝ることしかできないよ。
手紙を置き、【道標】で顎割れマッチョを捜す。うーん……これは訓練場の方かな? 行ってみよう。白い煙の帯が指し示す方向へと進む。最短の道のりを示してくれるんだけど、なんとなく目的地がわかるんだよね。多分、そこに行ったことがあるからだろうけど。
で、やってきましたよ。訓練場に。もう真夜中近いっていうのに、篝火を煌々と焚いて、剣を打ち合ってるよ。ただあのマッチョ、悪人的な感じはしないんだよね。……あぁ、性癖に根差してるから、やってることに罪悪感というか、悪いことをしている自覚がないタイプなのか。それだと私の見立てに引っ掛からないわ。
私の人を見る目はかなり当たる。というのも、五歳の時の誘拐未遂事件以降、人を観察することが常態になっているからだ。ただ、自身をも騙しているような輩や、なにかしら妄信している人は見抜けないんだけどね。だからノルニバーラ様からの加護は本当にありがたかった。
私にとって一番怖いことは騙されることだからね。
まぁ、ミスリードは気を付けないといけないけど。
ん? 顎割れが相手にしてるのって、私を蹴っ飛ばした騎士だよね?
対象を騎士にして【道標】発動。
あ、やっぱりそうだ。ラッキー、三人とも集まってるじゃないか。
そういや、異世界人の情報は秘匿してるみたいだったし、となると一緒に訓練するにしても、その事実を知ってる者に限られる、ってところかな?
あのふたりは確か、出入り口のところにいたんだっけ? 多分、私たちが逃げ出さないようにする為だと思うけど。
まぁ、理由はどうあれ、私にとっては都合がいい。
さぁ、どうしようかな。なんとか一ヵ所に三人集められないかな。
まとめて『死ぬがよい!』したいんだけど。
んー。あれやってみるかなぁ。ゲームではうまくいった時もあるんだけど。
右手に【灯光】の魔法をセットする。
どのあたりにしようか。順番待ちしてる奴との中間あたりがベストかな? よし、発射!
【灯光】を撃つと同時に【透明変化】を発動。さらに【透明変化】をすぐに発動できるように準備しておく。
そしてソロソロと訓練場に侵入した。
お、上手く行った。三人の動きが止まって、突然出現した【灯光】をガン見してる。よし、そのままもうちょっと近づけ。そのままだと三人全員が範囲に入らないんだ。早く、早く、早くってば。
やがて三人は顔を見合わせると、慎重に光に近づいていく。
よし、上手く行った。
『――――――――』
言音魔法発動! 【透明変化】が解けるも、すぐさま準備していた【透明変化】を発動。私の姿が現れたのは、瞬く間ほどもない。
吹き付けられた風のようなものを感じたのだろう。三人はキョロキョロとしていた。
ふふ。君たちはもう終わりだよ。これからの生活を、せいぜい気を付けるがいいさ。
そんな悪役みたいなことを思いながら、私はそそくさとその場から移動した。
言音魔法【死の宣告】は、最凶最悪の魔法だ。時間経過とともに、生命力と防御力を低下させていくものだ。生命力自体は、そこまで顕著に削られることはない。効果が切れてしまえば、あとは時間と共に回復するのだから。だが問題は防御力だ。これは下がったが最後、回復することはない。さらにその減る総量が尋常ではないのだ。
ゲームにおいては、一番弱い一段階目だけでも、数値では千以上削られるのである。ほぼどんな相手でも、防御値がマイナスになるという有様だ。
さて、こんなものをリアルでやられたらどうなるだろう。
そうねぇ、分りやすく例えるとするなら――
箪笥の角に足の小指をぶつけようものなら、それだけで致命傷。
くしゃみの反動に耐えられず、腰が死ぬ(骨折する)。
ね、とんでもない弱体化でしょ? 結構簡単なことでも死んじゃうかもね。
まぁ、あの騎士ふたりは職務に忠実だったのかもしれないけど、蹴る必要はなかったはずだからね。少なくとも、私に恨まれるようなことをしたことを後悔すればいいさ。
その後も、スリの練習をしつつ、そこかしこに悪戯を仕込む。
【竜巻】の魔法罠とか。あんまり殺意のあるやつは仕込めないからなぁ。関係ない人が引っ掛かったら大変だし。
あと幽霊騒動ももう一回起こしておいた。結構楽しい。というか、騎士や兵士連中、軒並みヘタレだな。そんなに幽霊苦手か。
そんなこんなで遊びまわっていると、ほんのり明るくなってきた。
そろそろ夜明けかな?
よし、脱出だ。
無闇にでかい大門の脇にある、普通の通用門から外に出る。
最後の最後に、大門の前に私の分身を置いておいた。
門番? 寝てましたよ。だからやったんだもん。
城の前を通った人が、門を睨む幽霊を見て、噂を流してくれると嬉しい。
夜明け前でも、それなりに活動しているひとたちがいるみたいだし。
さぁ、これで自由だー!
◆昨日と今日で私のやった悪戯
・発注書の発注数の桁を増やす。
・血の怪文書:九枚。
・呪いの王家の指輪。
・幽霊騒動、三件。
・玉座に【錯乱】の魔法罠を設置。
・兵舎食堂に【竜巻】の魔法罠を設置。
・厨房から食料をくすねる(悪戯じゃないね)。
・メイドがひとり行方不明(これも悪戯じゃないね)。
・アジア人、顎割れマッチョ、騎士二名に『死ぬがよい!』(悪戯× ガチ〇)。
キッカさんは無事に城外へでましたね。
それにしても成長が早いですね。素晴らしいです。
では、私もやることをやっておきましょう。ここの連中には私も思うことがありますからね。
空間を歪め開き、地下牢へと移動。
まずはキッカさんの身代わりというか、偽物を置いてと。
壁に寄り掛かるように、項垂れる少女の遺体を作り出す。その姿はここの王たちが見た、キッカの偽りの姿だ。
痩せこけた、亜麻色の髪をツインテールにした少女の遺体。
これで良し。あとは壁一面に呪いの文句を記しておきましょう。
『我が子を攫いて死に至らしめし者どもに呪いあれ』
ふふふ。と、キッカさん、面白いことしてましたね。あれの鑑定の文言も、ちょっと書き換えておきましょう。
【呪われしテスカセベルム王家の指輪】
・テスカセベルム王の証。建国以来、王に受け継がれるルビーの指輪。
・異界の神の子を殺したことにより呪われし指輪。
・装備した者には二度と平穏が訪れることはない。
……ふむ、折角です、嵌めたが最後、抜けないようにしましょう。外すなら指を切り落とせばいいわけですし。まさに呪いの指輪。
文言も二行目以外は真実ですしね。
……しかし、なかなかえげつない効果ですね、キッカさん。
正気を失わせず、恐怖を味合わせ続けるなんて最高ですよ。
あ、ララーのあれは問題ありませんね。ララー、笑い転げてましたし。もともとテス以外、ここの人間に祝福なんて与えていませんしね。あとでキッカさんに連絡しておきましょうか。
最後に人払いを解いて……と。まぁ、こんなところでしょう。
ふふ。キッカさん、私の故郷を存分に楽しんでくださいね。