はじまり
魔法暦720年。
はじまりの村。オリジン。
小鳥のさえずりが聞こえる。
そこで、イチリは目を覚ました。
「ここは!?さっきまで部屋にいたのに。」
魔法が全てを支配する世界。
アンダーグラウンド。
「まじかよ・・・。」
本当に転生しちまった。
ゲームや小説で知っていたけれど、本当に異世界に転生してしまうとは。
「驚きだな・・・。」
ステータスを表示します。
xxイチリxx。レベル1。はじまりの杖。はじまりのローブ。
レベル1か~。アンダーグラウンドを始めた時を思い出すな。
「ようこそ。アンダーグラウンドへ。」
頭の中に直接声が聞こえる。
「あんたは誰なんだ。」
「僕はGM、ゲームマスター。ゼロスと名乗っておこう。君がアンダーグアウンドをクリアしたので、ご褒美としてこの世界に君を招きいれたのさ。是非楽しんでいってくれよ。」
「そんな・・・。ゲームの中の世界に入れたらいいとは思っていたけれど、本当にそうなるとは・・・。でも自分がこの世界に来た目的は?!」
「まずは、仲間を探すことだ。魔王エグゼを倒すために。」
「エグゼ・・・!?奴は俺が倒したはず・・・。まさかまだ魔王エグゼがこの世界にはいるのか!?」
「いずれ分かるよ。それじゃあ。グッドラック。幸運を祈るよ。」
声が遠ざかっていく。
「まずは、この村について調べるか。確か初めてゲームをプレイしたときもこのオリジンがはじまりの場所だったな。ゲームだとチュートリアルがあるはずだけど・・・。町の住人は・・・。」
「村人さん。ここははじまりの村オリジンで合っているのか?」
「ああ、そうさ。君は、イチリ君だね。村長から聞いているよ。」
「村長から?。村長はどこに?近くにいるの?」
「ああ、村の奥にいるよ。案内してあげよう。」
イチリは村の奥の少し大きな家の前まで来た。
そこに村長はいた。60~70才ぐらいの歳かな。
「おお!そなたがイチリか!!待っておったぞ。神の啓示によって近いうちにイチリという名の転生者が来ると知らせがあってな。ささ、こっちに寄りなさい。」
「神ってもしかしてゼロスのこと?」
「そうじゃ、彼がこのアンダーグラウンドを初めて作った。ずっと昔からこの世界を見守ってくれている神じゃ。魔大陸には、お主の火魔法を打ち消す魔物もいる。土、水、風然り。だから一人では、エグゼの元に辿り着くことも叶わないのじゃ。ちょうどこの村に、土の魔法を行使する青年がいる。私の孫じゃ。ともにエグゼを倒すために旅に出るのじゃ。」
「どうも。イチリさん。名前はイット。よろしく。」
「イットさん。よろしく。これからエグゼを倒す旅に一緒に出るってこと?」
「そうじゃ、まずは近くのはじまりの洞窟にはじまりの装備を取りに行くことじゃ。」
「わかりました。イットさん一緒に行こう。」
「わしももう少し若ければ一緒に行けたのじゃが、イットは相当の手馴れじゃ。安心するといい。」
イチリとイットははじまりの洞窟に向かった。