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追憶。  作者: tear.
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6

「あれ?」


 どうやら本当に帰ってしまったようだ。ヒントって何がヒントなのかさっぱりわからなかった。


「口の中痛いし……」


 何故かひとかけ齧られたりんご飴を見つめ、考えるも全く思い出せない。


「ヒントになってないと思うんだけど」


 こうなったら神頼みでもしよう。ちょうど神社にいるのだ。

 すっかり廃れてしまったお賽銭箱に小銭を投げてお願い事をする。


 浴衣の子が誰だか思い出せますように。


「明日にでも思い出してるといいな」


 りんご飴を舐めながら、拝殿の周りをぐるりと回ってみる。


「お、ここにも座れそうな石があるじゃん。懐かしいなぁ。昔はよくここでお祭りの日に1人でいたっけ?」


 砂をほろって座り、岩肌をそっとなぞる。

 別にいじめられていたとかいうわけじゃないが、何故かこの場所がお気に入りだったのだ。

 忘れていたとはいえ、ここも無くなってしまうと思うとやるせない。

 食べ終えたりんご飴の棒を、石の横に置かれた、苔の生えた木の棒が散乱しているところへ静かに突き刺した。





 秋の夜風に身を晒しながら暫くの間、昔を懐かしむ。思い出までダムの底に沈んでしまわぬ様に。




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