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「今日は神社でお祭りがあるから行ってみたらどうだい?」
晩御飯を食べていると、そんなことを言われる。
「でも荷造りまだ全部終わってないし」
「だいぶ手伝って貰ったから大丈夫だよ。行っておいで」
そう言って3千円を手に握らせてニコニコと笑う。
まぁ、昔に行ったきりだし行ってみるのもいいかも。せっかく言ってくれてるんだしね。
「わかったよ。食べたら少し顔だしてみる」
そう言うと、嬉しそうな顔をして頷くおばあちゃん。
何がそんなに嬉しいのだろうか。自分に子供ができて孫が生まれたらわかるのかな。
「懐かしい。昔はよく親を騙してきてたなぁ」
村にある神社のお祭り。何の目的のお祭りなのかはわからないけど、別に神や女神を崇めてるわけでもなさそうだ。
多分娯楽の少ないこの山奥の催しなんだろう。子供だけじゃなく、大人にとっても。
「何も変わってないなぁ。出してるお店まで同じだ」
わたあめに焼き鳥、ポテトにたこ焼き。それに型抜きなんて懐かしいものまで。
だけど、お店が並ぶ一本道は昔のような人混みはない。
みんな同じように村を出て行ってしまったのだろう。そう思うと、自分のことは棚に上げて、少し薄情と感じてしまう。