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第九話 打倒攻略対象者!悪役令嬢アリミナール・ブラックレス

暖かい日差しはお昼の時間を心地よくさせる。ついウトウトとしてしまった。懐かしいことを思い出していた気がする。


「アリミナール?眠いですか?」

右隣にいる美少年は、美しい人形のように顔が整っており、小首をかしげる。年齢にして7歳ほどであろうか。


「アリーはいつも人の話を聞いていませんね。」

左隣にいる笑顔が可愛い弟タイプは、私の顔をのぞき込み笑顔をみせる。年齢にして6歳ほどであろうか。


「・・・アリミナールはめんどくさがりなんですよね?」

目の前の席にいる一見無口そうな彼は、真っ直ぐな目でこちらを伺っている。年齢にして6歳ほどであろうか。


この私、アリミナール・ブラックレスが口を開く。

「物語をみていたみたいです。あなたたち3人も出てきました。」

「どんな夢だったんですか?」

ケインが興味深そうに聞いてきた。

「3人は、ひどいです。いえ、5人ですけど。やっぱり嫌いです。」

「夢の中のことで嫌われても困るんですが。」

グランが可愛らしい顔を尖らせる。

「私は、アリミナールです。間違えないでください。」

「・・まだ夢の中なの?」

ガイは不思議そうにこちらをみている。

「勝手に私のことを決めつけないでください。私のことを・・・。」


生まれ変わったんだ。私がアリミナール・ブラックレスなんだ。悪役令嬢なんだ。

私はこれから起こることを知っている。未来がわかる。アリミナール・ブラックレスに生まれたからこそわかる。彼女が何を思って自殺したのか、細かくは語られていない。わかることは攻略対象者に気をつけること。自殺に導くこの5人さえ警戒していれば、自らの命を失うことはないんだ。

アリミナール・ブラックレスを振るなんて最低な攻略対象者だな。ゲームの設定といえど、もう他人事じゃない。今は可愛い小さな攻略対象者たち、これが大きくなるにつれイケメンになるのだろう。イケメン耐性なんてない私は、恋する可能性だってあるんだ。これが一番心配なことじゃないかな。何事にも動じない精神が欲しい。学園に入る前に、なんとか対策を考えないとバッドエンドになるしか道がない。

私は、生まれ変わったんだ。私がアリミナール・ブラックレスなんだ。諦めたりしない。この先の未来を諦めたりしない。私がアリミナール・ブラックレスになったからには、絶対に思い通りにはさせない。


「私がアリミナール・ブラックレスです!私が何も言わないからと言って、何も考えてないわけではないんです!」

大きな声で声高らかに宣言した。

「ははっ。そうですね。アリミナールは意外とよく話す。これは僕たちが友達だからですね!」

グランが言った。

「アリーは、仲良くなるとお喋りさんだから心配です。」

ケインが言った。

「・・俺と一緒だね!アリミナールと一緒だとすごく楽しいよ。」

ガイが言った。


「友達じゃな~い!絶対、絶対!友達にはなりません!」

アリミナールはそんな3人に向けて叫んでいた。


これは、生まれ変わった悪役令嬢の物語。運命に足を踏み込む前の物語。


END


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