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第七話 悪役令嬢の道(ルート)

とあるルートでのこと・・・


「やぁ、アリミナール。」

廊下を歩いていたアリミナール・ブラックレスに声をかけたのはグランだった。

「相変わらず何も話してくれないんですね?まるで人形だ。」

「・・・。」

「婚約の件聞きましたよ。残念です。あの人とは珍しく話すことが出来ていたじゃないですか?断るなんて君らしくない。」

「そうでしょうか・・・。」

「おや、なにか気になることでも?」

「・・・。」

何も答えずそのままアリミナールはグランの元から歩いて行ってしまった。グランもそれを引き留めることはしない。

「気のせいか?」

グランは一瞬、アリミナールが悲しそうな表情をしているのではないだろうかと考えたが、影がそうみせているのだろうとすぐに思考は別のところにいった。


「お久しぶりです。アリミナール。」

廊下を歩いていたアリミナール・ブラックレスに声をかけたのはケインだった。

「やれやれ、女の子は笑顔が一番ですよ?もっと表情が欲しいですね。」

「・・・。」

「あなたと真面目に会話する婚約者を自分から振るなんてどうしたんですか?あなたらしくないですね。」

「そうでしょうか・・・。」

「嫌いだったんですか?」

「・・・。」

何も答えずそのままアリミナールはケインの元から歩いて行ってしまった。ケインもそれを引き留めることはしない。

ケインは一瞬、アリミナールが笑っているのではないだろうかと考えたが、影がそうみせているのだろうとすぐに思考は別のところにいった。


「・・アリミナール?」

廊下を歩いていたアリミナール・ブラックレスに声をかけたのはガイだった。

「君は俺より無口だね。」

「・・・。」

「たしか、婚約者だった人とは話してなかった?婚約破棄なんて君らしくない。」

「そうでしょうか・・・。」

「何かあったの?」

「・・・。」

何も答えずそのままアリミナールはガイの元から歩いて行ってしまった。ガイもそれを引き留めることはしない。

ガイは一瞬、アリミナールが悩んでいるのではないだろうかと考えたが、影がそうみせているのだろうとすぐに思考は別のところにいった。


「こんなところで何してるんだ?アリミナール。」

廊下を歩いていたアリミナール・ブラックレスに声をかけたのはナリクだった。

「まただんまりかよ。まぁ、うるさいよりはましだけどな。」

「・・・。」

「婚約破棄の噂聞いたぞ。お前何考えてるんだ?バカなんじゃねぇの。」

「そうでしょうか・・・。」

「なんだよ?」

「・・・。」

何も答えずそのままアリミナールはナルクの元から歩いて行ってしまった。ナリクもそれを引き留めることはしない。

ナリクは一瞬、アリミナールが虚ろな目をしていたのではないだろうかと考えたが、影がそうみせているのだろうとすぐに思考は別のところにいった。


そうして、彼らのもとから去っていった。


大きな闇に飲み込まれる前、アリミナールの頭の中では思考が行き来する。


大好きな人だからこそ、幸せになってほしいというのはおかしいのだろうか。

私が大好きな人の一番にはなれないってわかってた。

好きになんかなるんじゃなかったなんて思わない。

私の世界を教えてくれたから。

こんないらないもの捨ててしまいたいなんて言わない。

こんな心なんて捨ててしまいたいなんて考えない。

生まれ変わることができたなら・・・。

私は幸せになれたのだろうか。

この想いは無駄ではなかったと思いたい。

誰かに決められたルートを、誰かに決められた相手(攻略対象者)に支配された世界には、私の生きるルートはない。


ここで私の意識は消えていく。


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