第一話 初恋レディ~ときめきをあなたに~
はじめに
*本編【悪役令嬢の私は心を入れ替えました】番外編
*本編ネタバレを含む場合あり
*ゲーム設定資料集含む(本編でのキャラ設定相違あり)
*番外編を読まなくても、本編に支障なし
*イベント等の発生なし、短編のため省略あり
*以降の注意事項をお読みの上、読み始めてください
私の名前はリリーダ・キャラベル。
とある物語の中の主人公という役割だ。そう、私は主人公なのだ。本当は名前なんて存在しない。この世界に生まれてしまったために、リリーダという名前が出来た。これから私の話をしようと思う。
いえ、私からみたあの小さな女の子のことを。
リリーダ・キャラベルとして生を受けた私には、父親がいた。しかし、父親は仕事一筋の人間で、自分の娘が同じ魔法の特異体質として生まれたことに対して、特に大きな感情は持っていないようだった。理由は知っている。私は特異体質として生まれたというのに、才能がなかったのだ。そうそうに諦めた父親は、仕事の関係であるお嬢様の面倒をみていた。私がそれらに関わることはなかった。
親戚の家の宿屋に住んでいるため、なんとか力になりたいと魔法を勉強することは続けていた。大きくなるにつれ町では評判の、魔法の特異体質保持者として名が知られるようになっていた。ついに帰ってきたと思っていた父親。その父の意向で、ある学園に行かされることになってしまった。名立たる人が卒業しているという、ライトストーリー学園に入ることになってしまった。正直、王族やお金持ちの人と仲良くなれる気がしなかった。私はこの町にある学校に行きたかった。しかし、父親は私のためだからと学園に行かせるよう仕向けてきた。そんな父親の意図をくみ取れないほど私は子供ではなかった。
学園に行く前、父親からこんなことを言われた。
「リリーダ、学園で困ったことがあれば、助けてもらえうように口添えはしておいたから。」
そんなことを言われたが、誰のことを話していたのか何も教えてくれなかった。不安だけを持って、私はライトストーリー学園に足を踏み入れることになった。
学園は、それはとてもひどいところであった。いくら魔法を持つ特異体質だからと言って、庶民である私はいじめの対象となった。それはとても地獄のような毎日だった。