自分、欲望に忠実なオークのつもりですが
はい、息子は暴れん坊のオーガですがナニか?
世話になるこの街は、パリス=バケット。パリス家領のバケット町ってことらしい。つけかたの順番って逆じゃなかったっけか。はいはい、これがここの流儀ね。
とりあえず領主町だから他とはちょと大きいらしい。他を知らんからテキトーに頷くだけ。
ポン○とナナ○と今後わしが自立していく方法をエロフを交えて話し合った。この二人、自宅じゃロールしないのな。
設定として、わしとエロフが双子、親はエルフとヒトの夫婦、冒険者としても組んでいる。指名依頼で長期の旅に出ることになり、危険な長旅では子供を連れて行くわけに行かず、ポン○とナナ○に里親として養育を託した。
この街では、住民権を得る傍ら身分証明としてギルド登録と教育を受ける。なんか幼児教育と聞こえたが聞き間違いだろう。
住民台帳の制度がないので、存在証明にまずギルド登録だ。
白いスモック、膝上まである黄色のブーツに黒いフードコートをまとい、黒い手袋。そして顔面保護に、上が黒と尖ったとこが黄色のコレラマスクをした。どうだ、かっこいいだろ。
エロフが『ペンギン』と言ったようだが、きっとエロフ語で『かっこいい』という意味に違いない。
行く道は知らないがポン○とナナ○がはぐれないように二人の間で手をつないでやった。気づかいの出来る大人のわし。ぐわっはっはっは。つい魔王様笑いをしてしまったではないか。
またエロフが、なんか言ったが気のせいだろう。『連行される宇宙人』と聞こえたように思うがきっと勘違で『出来る男ね』に違いない。
通りを歩くと人間型だけの世界じゃないのが実感できた。白くて耳の長いエルフ、色の黒いダークエルフ、なんか獣の特徴が出ている獣人だとかだ。りりしいおねーさんとかもふりてぇ。おーファンタジーだぜ。やっぱエルフって美人さんばっかだ。巨人だがな。
エロフはだって?
エロフはコブタの獣人だろ。もふりたくもねーし。
男も居るダロって?
ちっちっちっ、興味ないから全体にモザイク掛けている。イメージな。
適当に歩いたにもかかわらず、わしはギルドの入口前に立っている。才能のある大人のわし。どやっ。
屋内に入るとホッとする。今朝、謎の声が聞こえてきて、わしはこの世界の太陽に耐性がまだ無くて直射日光を浴び続けるとキケンだそうだ。レベルが上がれば少しは耐性が上がり緩和するだとか。謎の声の主って謎が深まるばかりだ。
この世界に来た時は転移召喚の加護が多少有ったそうだ。そういえば着せられてた呪いのシャツがチクチクしてたのは素材のせいかと思っていたがこの世界の太陽光が原因だったのか。
聞いていたからでなく、なんか衣装も通気が悪くて蒸れている。汗でびっしょりだぜ。ダイエットスーツかよ。わしを茹蛸にしてどぉするつもりっ。
マスクを取りフードを後ろへ開く。んー娑婆の空気は、少しアルコールが混じってら。
ギルドは仕事の斡旋カウンターとは別に飲食ベースもあるんだな。ごくりっ。酒が有るのはポイント高いぞ。後で飲もっと。
ちょっと視線を感じる。まぁこの巨人族
「ほーら、あそこでギルド登録するでござるよ」
ポン○がロールを始めたな。
カウンターに手が届かない。ジャンプ。ムリだ。アンザイセンセが何を言おうと諦めよう。ふっ試合終了ってやつさ。
おひよっ。ポン○に持ち上げられてカウンターの上に上半身が出た。受付嬢さんと視線が合い、つい視線を下げると、これはこれは結構なビーチボールが二つ。
腹の肉が邪魔になるはずだから腰と脚の境までだせば安定するだろう。うんしょと。
これは正面にキュート系のウサギの獣人さんが居るから下心で近づいているのではない。純粋におっぱいに手が届く距離になりたいだけだ。あと少しだ。
「いらっしゃいませ。今日は、ご依頼ですか」
「拙者どもは付き添いで、この子たちの登録をしてほしいのでござるよ」
「はい、お二人ですね。先に手数料を頂きたいのですがよろしいですか」
言われた金額をポン○がカウンターに出す。
「ではこちらをご記入下さい。必要事項は、こことここですから忘れないようにお願いしますね。ご記入にはあちらのテーブルをご利用下さい」
「かたじけないでござる」
目標に向かってもうチョイなのにポン○に持ち上げられて床へと下ろされた。なぜじゃ。男のポン○が、わしの邪魔をする。
おおっそうかそうか、ポン○のお気に入りか。うむ。それなら納得じゃ。ここは大人じゃからポン○に譲れる、器の大きなわしを見せておこう。な。
登録用紙を二枚受け取り言われたテーブルへと移動する。おっきな木製で分厚い板の高さは一般的だが、並べられた木製椅子の高さが一様でなく、二種類有るようだ。ひとつは何の変哲もないタイプと何やらよく見ると高さ調節が出来るようだ。気になるギミックだ。
背伸びしてテーブルに用紙を置き、クッション付き座板のロックを外し、任意の高さで止め次に全面の足置きの高さも調節してから背側のはしご階段で上がり腰を掛けるとサイドのバーを引き上げるとハーフリングや背の低い種族にも対応できそうだ。ただ背が低いとはいえ重量級のドワーフさんだった場合だとどうだろか。
わしと同じく椅子を調整したエロフが椅子に座るのを確認して、エロフの分の用紙を前に置いてやる。タイプじゃないが運命共同体だからな。気づかいの出来る大人のわし。
ペンはテーブルの中央辺りにあり、手を伸ばすが、届かないので靴を脱ぐのが面倒なのでテーブルの上をハイハイ・・・・あっ。ポン○に持ち上げられて椅子へ戻されナナ○がさっと手を伸ばして取ってくれた。
「「ありがとぉー」」
ちゃんとお礼が言える大人なわし。
さぁやるぞと用紙を見て、書いてある文字が読めないことに気づいた。
見たこともない文字が記載されている。枠を作る線とか。その左側に書かれた模様で、これが文字なんだろうが。
ここはまるで異世界じゃないか。
『いまさらですね』
謎の声が頭の中に響いた。
あからさまに、何だよ。
『お喋りが出来たから気づくのが遅かったみたいですね』
だからナンダよ。
『ナンは、東南アジア地域でよく食べられている薄いパンですね』
言葉遊びするほど、理性的じゃないぞ。
『はあーい、存じておりますよっ』
てめぇー。
『ネタバラシ、いいですかー』
そっちこそイマサラだよ。さっさと言え。
『正確にはまだ"神格"資格は取っていないんですけどね、この世界では"創造神"なポンコツと"その他ご学友"が創った空間に、いくつもの偏った物語をパッチワークのようにちりばめて、ちょこっと調整しただけに過ぎない裏付けのない薄っぺらペラのちっぽけな空間なんですよ』
まず、いくつもの偏った物語って?
『そこは聞き流しましょーよ。某系統のPCゲームとかですねっ』
それひとつ!
『だからソコ、聞き流すとこですよ』
よけいわかるかっ!
『んーもぅ、いいんですか。美少女ゲームとかですよ』
はあ?
『R18になったりする悪役令嬢とか、BLだとか分け始めるといろんなジャンル、分類法とかがあって、そのスジの方達に語らせると半日以上かけても収束しないアレですよ』
まさか。
『ふっふっふっ、気がついたかねアケチ君』
なんとなくな。
『日本国産のエロゲだよっ』