第4話 カサブランカ作戦
85年1月31日
早朝のことだ基地内の戦闘部隊長に召集がかかり一箇所に集められたらしい。どうやら近頃発動すると噂になっていた大反攻作戦の概要の説明があるらしい。その為、私たち第4小隊は自室での待機を命ぜられた。
私の部屋は三人一組の相部屋でそこにはルームメイトかつ同部隊員のシドラド、リーアルと私の三人で生活している。
待機中の今他の2人は世間話に花を咲かせていたが、私は機体の戦闘機動補助プログラムの構築をやっていた。 するとシドラドが話しかけてくる。
「なあ、お前何やってんだ?」
「え、何ってプログラムだけど。」
「真面目だなお前。」
「褒め言葉と受け取っておくよ。で、何か用?」
「あ、そうそう。さっきなリーアルとここ最近ダカールに集結してる飛行艦群を見に行こうって話していてだy.....」
シドラドが言い切ろうとしたその時、部屋のチャイムが私たちの会話に水を差した。誰かがやって来たのだろう。私はシドラドに心無い返事を返しながら部屋の扉を開けに行く。
扉を開けると、そこにはソメリア中尉が立っていた。何があったか聞いてみると。「先ほど集められていた隊長からの話があるからブリーフィングルームに集まれ」とのことらしい。
私たち3人はすぐに身仕度を済ませ中尉に続いてそのブリーフィングルームに向かった。
部屋に着いてみると隊長が椅子にドッシリと座りかなり深刻そうな顔をしながら私達を出迎えた。席に座ると体調は話を始めた。
「今回行われる作戦はこのアフリカ方面でも類を見ないほど大きい反攻作戦となるだろう.....」
という形で内容の説明が始まった。話によると明日からカイロ方面に展開中のソウィエト帝国主体の軍勢がアフリカのパイオニア帝国前線(サハラ砂漠)に攻勢を仕掛けカイロ方面へと敵戦力を集中させると言う。
そしてその間に大西洋側の防衛網が薄くなった所にリードシエル軍主導の反攻作戦であるカサブランカ方面の進軍を行うという作戦(通称“カサブランカ作戦”)だ。
という大まかな概要と私たち第4小隊はそのカサブランカ方面の戦線に立つ事を伝えられたのだ、それに対して私たち(若干一名を除く)はことの重大さに危機感を覚えた。
話が終わると隊長は私たちに基地内での待機命令を下し部屋に戻ろうとしたが、シドラドがダカール近海に集結するらしい飛行艦隊を見に行きたいと駄々をこね話を聞かない、絶対作戦前にやることではない。
それを無理に言い聞かせようとするなりシドラドは勢い任せに逃げ出した。仕方なく私とリーアルは追いかけ、シドラドが乗り込んだ車に飛び乗った。
そもそも飛行艦隊とは、帝国の要塞兵器に対抗するために海軍の艦艇を魔改造?して空を飛べるようにした物だと言われている。
少しづつ港に近づいて行くと集結しつつある艦艇群も見えた。これを見てシドラドを含め仕方なく付いてきた私やリーアルまでも壮大さに圧倒された。
その光景は圧巻だった、つい数年前までは水の上を走っていた大海原の要塞がその巨体を空に浮かべて空を駆ける超空の要塞となって今間近で見ることができているのだから。
これにはシドラドも呆気にとられ「すげぇ」の一言しか言わなかった、数秒もすると我に戻ったようで子供のようにはしゃぎ始めた、それも1時間以上も。
私とリーアルは、はしゃいでるシドラドを止められずにいたのだが。話してるシドラドを遮るように通信端末が鳴り響いた。応答すると隊長のこれまで聞いたことのない怒鳴り声が耳をつんざいた。
「おい!お前ら一体何処をほっつき歩いてる。待機命令を出したはずだ!」
私たち一同これに対して何も言い返せなかった。なんの難しい事は無しに「とにかく早く戻ってこい!」と言われた。
これには、さっきまで浮かれていた私達(特にシドラドは)青褪めた顔をして飛ぶように基地へ戻った。(この時くる時の半分の時間で戻った。)
その後は待機命令を無視して勝手に出掛けたことに対してお叱りを受け、結局のところ作戦開始まで基地内謹慎処分を受けた。
これでようやくプログラミングに没頭できるっと思っていた.....のだが3人一部屋で結局のところ一緒だから没頭の没の字も無くシドラドが就寝時間までグチグチ喋り続けたお陰で完成度が6割がたという微妙なことになっていた。
翌日、作戦開始は明日だから今日中に完成させよう。と思っていたのだがどうもシドラドの終わらない話題が出続けて、その日も集中できるとは言い切れない状態だったのだ。
頑張ってはみたものの結局完成度8割の未完成で翌日....作戦開始を迎えなくてはならなくなってしまったのだ。
第4話 カサブランカ作戦 終