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目覚め
「おお! 恵里奈気がついたか⁉︎」
目を覚ますと、恵里奈はソファの上で横たわっていた。
私は……どうしてここに––––。
思い出そうとするが記憶が抜けている。最後に覚えているのは祝杯をあげていたところだけだ。その後睡魔が襲ってきて倒れてしまった。
「ここは……」
恵里奈は頭を抑えながら起き上がった。薬を飲まされたのか、まだ頭がぼんやりする。
「家じゃ」
恵里奈の顔を覗き込みながら源一郎は言った。
「お祖父ちゃん……」
「誰に誘拐されたんじゃ!」
「え……? え?」
源一郎に肩を掴まれ激しく上下に振られ、頭がカクンカクンした。混乱し何も言うことができなかった。よもや狂言でしたなどと誰が言えるだろうか。
「犯人は誰なのじゃ!」
「えっと……」
せめてあの人と真反対の人物を言って容疑から外した方がいいわね––––。
「え……と……長髪で……ヒゲが生えてて……毛がボーボーでまさに自分、ホームレスっす! って感じの……そんな人」
「ホームレスを探せ!」
「うわああああああぁっ!」
源一郎が部下に命令した瞬間、下から悲鳴が轟いた。