プロローグ
木下達郎は隠し撮りした写真を焼き増しし、アルバムにまとめていた。全て盗撮だった。動画ファイルはパソコン、スマホ、DVDにダウンロードした。それらをUSBに保存し、鍵付きの机に入れた。木下はいわゆるストーカーだった。きっかけは三ヶ月前の事である。
大学生の木下は授業がない時間、ブラブラと街を徘徊し、電車を乗りどこか遠い所へ行こうとしていた時、偶然電車内で高校生の女の子と遭遇した。その時その子を好きになり、制服から学校を特定し、同じ車両に乗り合わせ手製の隠しカメラで遠隔撮影していた。一週間に一度それらをまとめている。撮影した時間、日付、彼女のとった行動などをそつなくメモし、それらもアルバムに書き足している。今日も盗撮をしようとニヤニヤしながら家を出た。その時だった––––。
「おじさん!」
家の前に、木下が盗撮している少女が泣きながら座り込んでいたのだった。ストーカーがバレたのではと木下は狼狽えるが、それにしては家の前まで来るのは少しおかしい。木下の顔から珠の汗が落ちる。
こうなったら当たって砕けろだ。
向こうから話してきてくれたのだ。この機会に充分話してやろう。
「私を誘拐して欲しいの!」