プロローグ
「あー、なあ、どう思う?」
「どう、と言われてもね。いつも通り、じゃないかな?」
「だよなー。」
俺は、前方に現れた巨大なゴミの山を見ている。
「早いとこ終わらせてしまおう。他にも回るところがあるんだからね。」
「そりゃそうなんだが。もう少し、こう分別があってもいいんじゃないかと。」
「まあ、そう言うなって。僕がいれば何とかなる。」
「それもそうか…ありがとな、ルー、エル川はうちの実家にも続いてるんだ。綺麗にしないとな。」
「どういたしまして、カイン。そもそもこれは君が考えた仕事だろ?」
「ま、そうなんだが、俺は事務手続きやってるだけだしな。」
「その事務手続きが僕には出来ないのだから、お互い様だよ。」
ルーは、グルルルと鳴いた。機嫌が良い時の反応だ。
俺は今、そのルーの背中から、王都の東地区5番の集積所を眺めてる。ゴミの山、とは言っても、俺の目線の高さよりは大分低い。何しろ、四足でもルーの体高は5メートルはあるのだ。普通に2階建ての家屋の屋根から地面を見ているような気分だ。
で、何をしてるのかって?そりゃゴミ収集だ。俺は清掃員なのだから。王都初の、いやこの世界初の清掃員、それがこの俺、カイン・スティングレイの仕事だった。
俺がこの仕事を始めるには、話せば長い訳があるのだ。今でこそこの仕事も随分板についてきたんだが、何分始まった当初は…、ま、その話は今は良いだろ。ともかく「分別されていない」目の前のゴミをどうにかしないとな。
いつも、有難うございます。
何となくびびっと来て始めてしまいました。
お気楽に読んでいただければ。