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心中

荘太郎は翌朝早くに教室を訪れた。目に入ったのは、眠っているかのような花純の姿だった。首元に手を当てたが、脈は止まっていた。

持っていた携帯電話で警察に電話をかける。

「もしもし。廃校になった××中学校に2人の遺体があります。一人は○○孤児院で育った高柳花純さん。命に関わる病気を持っていたので病死だと思われます。もう一人は松林荘太郎。……え?僕は松林荘太郎です。今から僕はここで死にますので。それでは」

電話を切る。きっと警察たちが駆けつけるまで15分はかかるだろう。


荘太郎は死体に対して欲情する性癖は持っていないが、もう目覚めることのない花純はとても美しい存在に思えた。彼女の頬に唇を当てた。

花純の隣の席……つまり荘太郎が座っていた席に手紙が置かれてあった。孤児院に宛てた遺書と……荘太郎へ宛てた手紙が。

『松林君へ

どうか私が死んでも生きてください

君のことを忘れていてごめんなさい

助けてくれてありがとう

どうか、どうか生きて

高柳花純』


荘太郎は悲しげに微笑んだ。

ずっとずっと、いつ死のうかと思っていた人生。最後に花純に出会えて嬉しかった。花純は荘太郎の初恋の人だった。恥ずかしくて話せなかったがずっと彼女を見ていた。花純は既に誰かと付き合っているという噂が流れていたせいで何も行動できなかった自分を憎んでいた。彼女の笑顔が……好きだった。

「ごめんね高柳さん。君が俺の命を繋げていてくれたんだ。君がいない世界なんて、俺には必要ないんだよ」

荘太郎は教卓の上に立ち、蛍光灯のカバーにロープを引っ掛けた。たくさん着込んでいたせいで分かりづらいが、蛍光灯が折れないかと心配する必要はないほど、彼は痩せていた。

荘太郎はもう一度彼女を見た。

「君が同じこと(助けて)と言ってくれる来世に、今いくよ」

この小説を、話の元となった夢に出てきた見知らぬ二人へ捧げます。

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