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魔族に転生しました。ビックリです。

暖かいぬくもりの中、どこからか心地よい声が聞こえてくる。



(可愛いわ。なんて可愛くて美しい子なんでしょう)



その優しい声に導かれるように瞼を上げると、美しい顔をほころばせ微笑む女性。その隣には、同じように微笑む男性。

うわぁ…二人ともすごい綺麗な人だなあ。でも、この人たちは誰?



「キュイ、私の可愛いキュイ」

「さあキュイ。お父様にその可愛い顔をよく見せておくれ」


そう言うと、男性は女性の腕に抱かれていた私に手を伸し、軽々と私を抱き上げた。



(え?)


嬉しそうに私を抱きかかえる男性。

私の顔を覗きこむその瞳に映っていたのは、これでもかと目を見開いている赤ん坊だった。



「ふぎゃああああぁぁぁっっ(ええぇぇーーーっっ)!!!」







私の名前はキュイ・ブランルージュ。

ブランルージュ家の長女として生まれました。ブランルージュ家は魔界では有名な魔族の一族です。……魔族です。自分でもビックリ仰天しましたが、魔族です。まさか自分が魔族に生まれ変わるとは……。

というのも実は私、こうしてキュイ・ブランルージュとして生まれる前の記憶があるんです。前世の記憶…ってやつです。前世の私はごく普通の人間で、ごくごく普通の女性でした。普通のOLとして働いていましたが、インフルエンザに掛かり、26歳の若さでぽっくり逝ってしまいました。そしてふと気付いたら、人間だった記憶を持ったまま魔族として生まれていたのでした。




「キュイ、また魔力が漏れている。こっちにきなさい」

「はい、ルー兄さま」



私を手招きするこの銀髪のイケメンは、ブランルージュ家の長男、ルーゼ・ブランルージュ。私のお兄さまです。

ちょこちょこと歩いてきた私を抱き上げて膝に乗せると、その綺麗な顔をにっこりと微笑ませた。



「ダメじゃないか、こんなに美味しそうな匂いをさせて」

「ごめんなさいルー兄さま。キュイはまだ魔力の扱いが上手くできないの」



こてんと頭を傾げると、兄さまは淡い青の瞳をすっと細め、私をギュッと抱きしめた。首筋から兄さまの鼻息が聞こえる。

スーハースーハー…

げ!また匂い嗅いでる‼ ブルッと背筋が震えて、私は兄さまの腕の中で身じろいだ。



「どうしたキュイ?くすぐったいか?」


ん?と私の顔を覗きこむルー兄さまの目はちょっと恐い。だって目が完全にイッちゃってるんだもの。実の妹に対してその目はダメだと思う。


「ルー兄さま、キュイの匂い嗅がないで」


やんわり兄さまの胸を押し返すと、一瞬でまた兄さまの胸の中に力強く抱き寄せられる。うっぷ!苦しいです兄さま。



「キュイ!何でそんなヒドイことを言うんだ!私はキュイの兄さまだろう?キュイの魔力を味わいたいんだよ!キュイの匂いを嗅ぎたいんだよ‼」


兄さま…それはもうすでに変態です。


「でも、お父さまとお母さまは他の魔族や人間にキュイの魔力を知られてはいけないって。匂いも嗅がせちゃいけないって」


「兄 さ ま は い い ん だ よ ‼」


「………」



そんな血走った目で力強く言われたら、もう何も言えません。

その間も兄さまは私の匂いをうっとりした顔で堪能してしています。……はあ。

兄さまがこんなにも私の匂いを嗅ぎたがるのには訳があります。魔族には人間よりも高い魔力が備わっており、その魔力には匂いがあります。魔力が高ければ高いほど甘美な匂いがするそうです。私はまだ子供なのでまだその魔力の匂いとかよく分からないのですが、私は魔族の中では素晴らしく良質で豊富な魔力を持って生まれたようです。よって、私の体からは何とも言えないいい匂いがだだ漏れていて、その匂いで魔族でも人間でも何でも魅了して引き寄せてしまうという、厄介な体なのです。でも魔力をコントロール出来るようになれば、この厄介な体臭もコントロール出来るようなので、早く大人になりたいなあと思っている今日この頃です。


「ああ……キュイ、キュイはずっと兄さまのものだからね。他の誰にも渡さないよ」


私の首筋に顔を埋めながらスーハースーハーしている兄さまは完全に変態です。でもこれは私の体臭で魅了されているだけで、私が早く大人になれば普通の兄さまに戻ってくれる…はず。


「ルー兄さま。キュイ、早く大人になって魔力を抑えられるように頑張ります」

「確かに魔力コントロールは大事だが、兄さまの前では抑えなくていいんだぞ」

「だってキュイはもう80歳になるのに、まだ魔力を抑えられないなんて恥ずかしいです」



そうです。私、魔族に生まれてかれこれ80年経ちます。人間だったら完全におばあちゃんです!でも私は魔族なので、見た目は8歳ぐらいの普通の幼女です。普通って言っても桃色のくるくるした髪に同じく桃色の目をしてるからみた目は普通ではないんですが、魔族なので人間ではありえない配色でもまあ普通だと思います。


「恥ずかしいことはない。キュイの魔力は膨大だからな、なかなか抑えられないのも無理はない」

「はい…」


体から溢れる魔力、もとい体臭は自分でも無自覚だから扱いに困る。最近ちょっとずつコントロールできているらしいけど、自分ではあんまりよく分かってない。あ〜あ、魔力コントロールってむずかしい。




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