深夜 自室アパートにて
卓也がアパートに帰る頃には時計は1時を回っていた。
明日の仕事に支障が出ては大事と、卓也は急いでシャワーを浴びそして眠りについた。
深夜、卓也は目を覚ます。
恐ろしく嫌な夢を見た気がするが思い出せない。まあ、よくあることではある。
洋の話か、例のホームレス狩りのせいには違いないだろう。何故かそんな確信はあった。
洋の話が思い出され、とたんに背中に冷感が走った。
慌てて起き上がり灯りをつけたが、当然、何者かがいる筈などなかった。
卓也はつい3秒前の自らの醜態に自嘲した。
今日はいい日だとも思ったがとんでもない、今日は厄日だな。いや昨日はと言うべきか。
そんなどうでもよいことを努めて考えながら、卓也は再びベットの上へと戻った。
そうして大きく強く目を閉じ、そしてもう一度目を開けてみた。
そこには薄汚れた傷だらけの壮年の男の顔が浮かび、虚ろな瞳で卓也を見つめていた。
これはあのホームレスの顔だ。あの時顔は見えなかったが、そうとしか考えられなかった。
なぜ俺のところに来た。俺はあんたを助けたんだぞ。
いやそれ以前に、どうして俺が見ていたことが分かったんだ。
いや、お前は本当にあのホームレスなのか。
いや、そういえば洋の話を聞いたとき、俺の頭では老人をこんな顔でイメージしていた。
いや、もっと前、お袋のする寓話の昔話のおじいさんもこんな顔をしていた。
いや、確証はないがそれよりずっと前から知っている気もする。
お前はいったい誰なんだ。俺に何の恨みがあるんだ。何をしに来たんだ。
いや、
翌日、卓也は出社しなかった。




