表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/56

24・とりあえず揃ってしまった導かれし者たち


 全ての状況は飲み込めなかったが、一二三の取り乱し方を見て、香月は話を合わせることに決めた。


「そ、そうなんですね。本当にありがとうございます」


 ただし、一二三が伝えたかった事柄(ことがら)を彼女は知らない。焦ったままの顔で彼女が言い放ったのは――、


「私は香月・フォーミュラです。あなたのお名前も聞いていいかしら?」

「あー。沢渡カノンですけど?」


 一二三の耳には、何かの崩落する音が聞こえた――――。




「ヒフミさん! どうして黙ってたんですか! 分かっていたら、私にも振舞い方があったのに――」


 花音は、河原でダックスと駆け回っている。その間に説明を迫られる一二三だった。


「いや……。まさか自分の妹が、そんな大それた人物だとは思えなくて。すみませんでした。けどまだ、名前から考えて外国の方かなとか思ってたんですよ」


 香月・フォーミュラは、静かに首元の鎖を手にした。そして、その先に光る、緑色で楕円形の宝石を見せるのだった。


「大転生者は仰っていました。『その者たち集いし時に、その宝玉は熱く眩く輝くであろう』と。まさしく、今、この時がそうなんです」


 爺さん、そんな大事なことを隠してやがった――というのは、一二三の隠さぬ本心だった。まず第一に、大転生者などと仰々しく名乗る人物が寿命で絶命するなど、思いもしていなかったからだ。



 香月が頭を下げる。


「ちなみに私、犬は苦手なんです。猫は好きなんですけど――」


 異世界にも犬や猫が存在するのかと、一二三はどうでもいいことだけで頭を埋めた。でなければ、この状況を打破する方法が浮かばなかったからだ。現実逃避ともいう。


 香月がキャンプ椅子から勢いよく立ちあがる。


「とにかくカノンさんに、この事実を伝えましょう。話はそこからです――」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ