表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/24

12・放浪者たち


「お前らなあ――。」


 街をそぞろ歩く、ギャルとコスプレ侍と、真夏にフードマントをかぶった錬金術師。さすがの大都会でも目を引く存在だった。


「お前ら、オレの体力削って錬金したコインをムダに使ってんじゃねえぞ! 特に娘! なんだ、その菓子の山は! パンだけ食ってろ! パンだけ!」


 ぶらぶらと当てもなく歩く3人の前へ、二人の人物が現れた。警官だ。


「あのー、あなたち、最近よく見かけるんですが。何か怪しいって通報とかも入っててねえ。ちょっと身分証とか見せてもらえる? 特にそちらの男性。まさかとは思うんですけど、腰に差してる刀とか、本物じゃないですよね?」


やぶ睨みのベルモットが、ユルエに小声で尋ねる。


「なんだコイツら。上から目線で」

「えっと、お巡りさんなんだけど。アタシもちょっとヤバいんだけど」

「保安官かなんかってことか。おい、アンタら。オレたちは別に怪しいモンじゃないぞ。まあ、観光旅行みたいなもんだ」

「観光ねえ。じゃあ、そっちの男性から。その刀、見せてもらえますか?」


 ふと、巌流が険しい目つきに変わる。


「侍の命、おいそれと見せるものではない。これはれっきとした、名のある剣だ」

「いや、本物でしたら相当にまずいんで。銃刀法違反ですよ? とにかく全員、所持品出して――」


 そこでベルモットが、懐を探ると、


「おい、逃げるぞ」


 言うや否や、目の前の警官へ向けて何かの粉末を振りまいた。


「うわっ! ちょいコラ! コラ……こ……」


 警官たちが急に意識を失くしたようにひざを落とした。

 そうなると、ここぞとばかりに3人は逃げ出す。


「ベルモっちすごいんだけど! あれ何? 何なに?」

「ただのパウダーだ。催眠系のな」

「だがこれで、俺たちはお尋ね者という訳か」

「さあ――。あとのこたあ知らねえ――」


 河原を3人は走り抜ける。それぞれが出会った少年との再会を目指して。


「とりあえずぅ、行ってみたいとこあるんだけど?」


 ユルエの、走りながらの提案だ。

 まずはベルモットが答える。


「もしかしてだが――またオレに金出せって言うんじゃねえだろな」

「えー。電車賃くらい、いいじゃん」

「テメエなあ……」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ