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イセカイセブン~僕だけ転生できなかった世界に、異世界人がなだれこんできました~  作者: ニーガタ
クライマックスより~

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1/92

~終章の始まり~

 壮絶な戦いは最終局面を迎えていた――。

 シュルケンが、飛びクナイを握った。


「もう行くな、シュルケン! そいつの(よろい)は魔界の(はがね)、お前の術では傷もつかない!」


 大業物(おおわざもの)を下段から振り上げた巌流(がんりゅう)が叫んだ。


 敵はすでに、ただ一人。こちらの反撃は6人がかり。なのに、それがまったく歯が立たない状態だ

 そこへ、忍術使いのシュルケンが無防備(むぼうび)に飛び込んでゆく。


拙者(せっしゃ)は――手裏剣(しゅりけん)の投げもお粗末な忍びでござる。どこを狙おうとも、敵を刺したことがない」


 彼の眼が、真っ直ぐにムサシへと向いた。


「ただし、今ならば目前の敵に向かって、もはや逃げも隠れもせぬ。立ちはだかるそなたに、真っ向から向かうだけ。カヅキ殿に頂いたこの命、ベルモット殿に(たま)いし金色のクナイ。あとはこの身をもって、ただお主の懐に飛び込むのみでござる。手裏(しゅり)堅寿介(けんじゅのすけ)、参る!!」


 彼は両手にした退魔(たいま)のクナイを握り、身体を丸めると超高速回転で飛んだ。ムサシへ向けた、恐らく最終奥義(おうぎ)だ。その身体ごとを手裏剣と化して。忍びらしからぬ、風を切る轟音(ごうおん)がムサシ襲う。逃げも隠れもしないという、シュルケンの覚悟だ。


「食らえ!」


 ムサシが一瞬、(ひる)んだように見えた。が、そう見せかけただけだ。


 ベシィッ!!


 ニヤリと笑ったムサシは短刀を握ったその左手で、シュルケンの決死の攻撃を軽々と打ち払う。彼は遥か後方に弾き飛ばされた。


「おい! シュルケン!!」


 錬金術師(れんきんじゅつし)・ベルモットが逆転の大鉱脈(だいこうみゃく)錬成(れんせい)しながらも、大地に手のひらを押しつけたままで叫ぶ。

 背の(たけ)20メートルの化け物、ムサシが不敵に笑う。


「我を――今の我を傷つけられる者は、何人たりともおらぬ。あがけ、(おのの)け。そして絶望するがいい」


 まただ。また、その剛剣(ごうけん)が一二三を()ぎにくる。


「ヒフミ! 横へ回れ!」


 身体を転がし、すんでのところで(かわ)した一二三。

 ムサシの大太刀を巌流が受ける。

 しかし、その足は次第に後ろへと押しやられてゆく。


 ギギィン!!!


 剣のぶつかり合う音は(すさ)まじく、鼓膜を破りそうだ。しかし一二三も起き上がると、竹刀を握りしめてムサシの二の太刀をギリギリで受け止めた。


「カヅキ、急げ! こっちはギリギリだ! もう次はねえぞ!!」


 ベルモットがブロンドの髪を振り乱し、香月・フォーミュラを()かす。


「フォーミュラさん! まだ――まだラルシステムの解析はできませんか!」


 一二三もムサシの剣を避けながら必死に叫ぶ。


「もう少し、もう少しです! なんとかあと1分、凌いでくれませんか!」


 香月・フォーミュラは苦悶の表情で、宙空(ちゅうくう)に浮かぶラルフィンガーシステムの復旧を急いでいた。そんな彼女を、さらに魔物が取り囲む。


 ムサシが巨体を前へ一歩と進めた時だ。『たまごっぴ』を投げ捨てたユルエがフライパンを握った。


「神奈川県・高校女子記録保持者(レコードホルダー)折原友梨絵(おりはらゆりえ)――いきまぁす!!!」

 初めまして、ニーガタと申します。

「全300話」を目指して投稿してゆきます。

 まずは、最終戦局の一部紹介にて、物語は静かにスタートします。

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― 新着の感想 ―
読み始めました 本格的っぽいですね これからも楽しみにしています
2025/10/17 09:34 通りがかり
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