31話 神という存在
「私は、アンサローム。知見を司る神として存在しています。」
神……って出会えるものとして、存在するんだ!?
さっすがファンタジー。
「えー!神様ってなにかすごいことできるんですか!?」
サフィー、なんかテンション高いな。
「大したことはないわよー。聞かれたことを答える、というぐらいで、人が想像するような、願いを叶える、とかは、できないし。ただ、私に知りえないことは、あんまりない、のよ?」
ふふふ、と笑いながら、神はそう言った。
知りえないことはあんまりないって、さらっと恐ろしいこと言うな。
……ってことは、素でもいいかな。猫被るのも面倒くさいし。
そう思いながらも、俺は質問を投げかける。
「先程の言葉ですが、第二王子とは、どういうご関係で?」
「ああ、言っていなかったわね。フォーリアスの予知夢の加護は、彼が生まれた時に、私が授けた力なの。」
なるほど。この神なら、未来さえ知りえる、だから、予知夢を見せることも可能ってことね。
「そろそろ本題に入りましょうか。ここに来た目的は、忘れていないわよね?」
「はい。第二王子の呪いを解く方法を、教えてください。」
神は、数秒、目を伏せた後、答えた。
「わかったわ。……ある薬が必要ね。聖女の力を一時的に高める薬が。」
「あ、呪いを直接解くんじゃなくて、スフィアの力で解くんですね。」
サフィーが、気づいたように言う。
「それで、その薬の材料は、どんなものなんですか?」
「そんなに難しいものはないわ。ただ、材料のに、希少とされるものがいくつかあるのだけど……そこにあるから。」
……え?
「希少なものなんじゃないんですか!?」
サフィーが驚いたように言う。
「私が、もう数千年ほど、ここにいるからね。この洞窟には、私の魔力が満ちているの。希少な物質のほとんどは、濃い魔力のある環境で育つものだから。」
なるほどね。そんなに自然環境に影響を与えていいのか、とは思うけど、今の俺たちには、好都合だ。
「ありがとうございます。じゃあ、俺たちは、材料を集めに……」
「あら、すぐに行ってしまうの?……私は、聞かれたことなら、ほとんど、なんでも答えられる。この機会を、逃すのは、惜しいと思うわよ?」
そんな神に、俺は、言葉を返す。
「と、言われましても、第二王子の呪いをはやく解かなければ……」
「フォーリアスは、まだ大丈夫よ。私が、それを知っているもの。」
いいのか、それで。
何よりも、信憑性がある言葉なのは、わかるけど。
「えー、知りたいことかぁ。なんだろ。……シオは、なにかある?」
サフィーが、俺に問いかける。
「……あなたには、切望していることがあるでしょう、リュシオン。」
神が、俺の名を呼んだ。
……そうだね。誰よりも、何よりも、私が、求めているもの。
「……教えて、私の愛する人は、一体、どこにいるの。」




