30話 貴方は
俺の魔法は、魔物やサフィーの方に近づき、その周辺を強い光で包み込んだ。
「サフィー!!」
ダメだ、俺の魔法が、サフィーを傷つけてしまうなんて。
俺の魔法が、自分を助けるためだと、思ったのに、それで自分も傷ついてしまったら、サフィーは……
俺には、この光が収まるのを待つことしか、できないのか。
そうしている間にも、徐々に、光は収まっていく。
俺は、それを、ただ、見ていた。
そして、光が完全に収まった時、魔物は、消え去っていて、一人で立っているサフィーの姿が見えた。
そして、目を開いたサフィーが、言葉を発するまでの瞬間が。
ただ、ひたすらに怖かった。
「シオ……シオ、どうしたの?」
そう言ったサフィーは、何事も無かったかのように、俺の顔を覗き込んだ。
「え……大丈夫、なの?」
「え、なにが?さすがにすごそうな魔物が、こっちに来た時は驚いたけど、ちゃんとシオが守ってくれたじゃん。」
「そっちじゃなくて、俺の、魔法、なんだけど。」
衝撃で、上手く頭が回らない。
「シオの魔法?眩しかったけど、綺麗だったよ?」
本当に、俺の魔法が、効いていないの?
でも、サフィーは、何も気にしてなさそうだし。
「……ううん。なんでもない。先、進もっか。」
「……?うん。」
そして、俺の言葉に、サフィーは、頷いた。
しばらく歩くと、洞窟の奥は、行き止まりになっていた。
「ここが最深部かな?見たところ、何もなさそうだけど。」
「そうだね。でも、第二王子の予知夢が本当なら、多分ここに何かあるんだよね。ここに来るまでには、特別そうなものは、無かったし。」
すこし周辺を見回していると、サフィーが、言った。
「あれ、ここの壁、なんか他のと違くない?」
そして、サフィーのいる方に近づき、俺も壁に手を置いてみる。
……この感触、触ったことがあるような気がする。
これは、もしかして、魔石?
もしそうなら、魔力を流せば、なにか起きるかも。
念の為、防御魔法を展開する準備をして、壁に魔力を流してみる。
すると、その部分の壁が、崩れるように消え、さらに奥へと続く、通路が現れた。
「すごい、まだ先があったんだ!」
「魔石の効果の一つだね。行ってみようか。」
そして、俺たちは、洞窟の先に進んだ。
しばらく進むと、すこしひらけている空間にたどり着いた。
何もなさそうだな、と思いつつ、サフィーに声をかけようとした時だった。
「……待っていたのよ。あなたたちが、フォーリアス、第二王子の使いなのね。」
誰もいないはずの空間に、いきなり、声が響いた。
「そんなに警戒しないで。あなたたちに、危害を加えるつもりはないのだから。」
まばたきもしていないはずなのに、何故か、そこには、一人の女性が立っていた。




