23話 一つの提案
「職権、乱用?」
ラクト子爵令嬢が、戸惑うようにつぶやいた。
「そう、職権乱用。ラクト子爵令嬢、生徒会の話は、もう聞いてるよね?」
「は、はい。学園長から、聞きました。」
「え、何を?」
サフィーが聞いた。
「生徒会って本来。学園側から選出された、高位貴族、または王族とその側近が、初期メンバーとして、入って、他のメンバーは、その初期メンバーが、あとから選ぶ仕組みなんだけど。」
「ラクト子爵令嬢は、特別待遇で、途中参加で初期メンバーに入ることになったんだよな。」
俺の説明に続いて、シアンが言った。
「へぇ、すごいね。」
「別に私はすごくないよ。まだ肩書きだけで何もしてないし。」
「まあ、簡単に王子と関われる立場にするってことは、そこまで国が、聖女っていう存在を、手放したくないんだろうね。」
予想に過ぎないけど、間違ってはないと思うんだよね。
「で、続きだけど、その初期メンバー以外のメンバーを決めるのが、来月、一回目のテストが終わってから、なんだよね。」
「なるほどな。成績も考慮して、ってことか。」
「うん。まあ、任期が五年もあったら、一回目の成績なんて、そんなに関係なさそうだけど。」
割と重要なこともするみたいだから、早く決めないといけないのは、わかるけど。
「……それってさ、私に、そのメンバーに選ばれろって言ってる?」
サフィーが、言った。
「大正解。まあ、成績さえ良ければ、結局、初期メンバーが決めるんだから、少なくとも、五分の三は、味方だよ?」
「だから、職権乱用か。」
シアンが、呆れたようにつぶやく。
「そうそう。だから、まずは、サフィーに候補に入って貰わなくちゃいけないんだよね。」
「それは、わかったけど、具体的に学年何位ぐらい?」
「最低でも十位以内。五位以内に入れば、ほぼ確実って感じかな。」
サフィーが、数秒固まった後、言った。
「……どう頑張っても、越えられなさそうな人って、何人いる?」
「そうだね。……順当にいけば、おそらく王子二人と、俺とシアンだね。」
「なるほどね。だから、五位以内に入れば、ほぼ確実、か。じゃあ、とりあえずやってみるよ。」
サフィーがにっこり笑って、言った。
「え、そんなに軽く?」
「そう簡単ではねぇだろ、絶対。」
ラクト子爵令嬢と、シアンが呆然として、つぶやいた。
「まあ、私自身のためでもあるしね。それに、私、わりと頭良いし!」
「……言い切ったね。俺もそれは、間違ってないとは思うけど。」
そんなに自信過剰には、なってなさそうではあるけど。……なってないよね?
「まあ、できるだけサポートは、するし、頑張ってね。」
今は、サフィーを信じるしかない。




