表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/72

22話 二人の思い

サフィーが部屋に入ったのを確認して、気配隠ぺい魔法を解く。


「シアン。」


奥に進み、既に席に座っていたシアンに、声をかける。


「来たな。」


「あ、ノルディック侯爵令息様。」


ラクト子爵令嬢が、こちらを見てつぶやいた。


「お久しぶりですね、ラクト子爵令嬢。」


つい癖で猫かぶったけど、態度どうしようかな、この状況。

もう既にシアンって呼んじゃったけど。


「え、シオなんか、気持ち悪い、というか違和感がすごい。」


「君も言うのね、それ。」


前にシアンにも言われたけど。


「……ノルディック侯爵令息様は、あの、その……」


ラクト子爵令嬢が、戸惑ったように言う。


「ああ、こいつ、昔から人間不信なせいで猫かぶんのが癖になってるだけだから、そんな気にすんな。シオンも、今は、別に普通でいいだろ。」


「だから、癖になってんの。ラクト子爵令嬢にこっちを見せるつもりは、なかったし。」


「そう、なんですね。すこし、びっくりしました。」


……まだ、なんか緊張してる感じあるな。

俺が、前と違いすぎて、逆にってこと?


「で、そろそろ話進めるぞ。とりあえず、二人で話したいんだろ。」


シアンが言った。


「あ、ありがとうございます。パーシアン様。」


とは、言ったものの。


「「……」」


ま、そりゃそうだよね。この状況で、普段通りに話ができるわけがない。


お互いに、嫌われるのを恐れている、この状況じゃ。


ただ、この状況で口を挟むのも、あれだよね。

どうしようかな。


「……サフィーリア。」


そんなふうに考えていると、ラクト子爵令嬢が突然、サフィーの名前を呼んだ。


「スフィア?」


サフィーも、それに応えるように、名前を呼んだ。


「……ごめんなさい。本当に、ごめんなさいっ!」


「え、あ、スフィア?」


「あなたを無視するようなことして、傷つけてしまって。ずっと後悔してた。でも、私の立場の問題に、サフィーリアを巻き込みたくなくて。これが一番良い方法だって、思ってしまって。本当に、ごめんなさい!」


「スフィア……」


サフィーが、呆然とした顔で、つぶやく。


ただ、すぐに、切り替えて、言った。


「スフィア、たしかに、すっごく、嫌だった。悲しかった。これは、はっきり言っておくね?」


ラクト子爵令嬢が、小さく、頷く。


「でもね。私、他の人に、何か言われたりするのは、別に、そこまで気にしてなかったよ。」


「……え?」


「別に、嫌な言葉は、言われなれてるし。手も出されてないし。それより、私は、もっと、スフィアに頼ってほしかった。」


待て待て、なんか今この子、色々問題になりそうなこと、言ったよね?

絶対口挟める雰囲気じゃないけど。


「別に、いいよ、巻き込まれても。私は、スフィアのこと、大事な友達だと思ってるから。迷惑ぐらい、かけてよ。」


「サフィーリア……」


その瞬間、ラクト子爵令嬢の目から、涙が溢れた。


「いいの?本当に?これからも、サフィーリアの友達で?」


ラクト子爵令嬢が、震える声で、必死に言葉を紡ぐ。


「いいんだよ。私が良いって言ってるんだから!」


そんなラクト子爵令嬢に、サフィーは、ニコッと笑って、そう言った。


「……とりあえず、上手くいったみたいだな。」


シアンが、すこし小声で、話しかけてきた。


「そうだね。……聞き捨てならないことも、聞こえたけど。」


多分、家でのこと、だろうな。


……大丈夫そうだったら、もうちょっと詳しく聞いてみよう。


しばらくして、ラクト子爵令嬢が、こちらに話しかけた。


「もう、大丈夫です。この場をつくってくださり、本当にありがとうございました。」


ラクト子爵令嬢が、深々とお辞儀をする。


「別に、俺らは、やりたいようにやっただけだしな。」


「そうだね。無事に和解できたなら、良かったよ。」


さて、次は……


「ねえ、シオ。私、具体的に何すべきだと思う?結局、私が変われば、済む話じゃん?」


サフィーが、俺に話しかけた。


「今、ちょうどその話をしようと、思ってたんだよね。……じゃあ、とりあえず聞いてもらおっか。軽い職権乱用の話。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ