15話 変化と悲痛 sideサフィーリア
結局、その日から三日間、スフィアは、学校に来なかった。
寮に帰ってきてもいないようだし、学校の先生に聞いても欠席ということだけしか知らないらしい。
「スフィア……」
たった数日でも、スフィアと過ごした日々は、私に寂しさを感じさせた。
そして、その翌日。休日の街に王城から、あることが公表された。
それは、この国に、聖女様が現れた、ということ。
そして、その聖女様の名が、スフィア・ラクトであること。
私は、特に驚いてはいなかった。
スフィアの力は、間違いなく特別なものだと、わかっていたから。
それに、王族である、第一王子がそれを見たなら、放っておくわけが無い。
数日学校に来なかったのも、聖女ということがわかったからだろうと、予想するのは、簡単だった。
そして、スフィアが聖女となり、それが公表されたことで、周囲からの、私の扱いがどうなるか、予想はついていた。
「立場をわきまえたらどうかしら?貴方のような汚らわしい存在が、聖女様に近づいていいわけが無いでしょう?」
「そうですわ!聖女様だって貴方のような方とは、関わりたくないのでなくて?」
クスクスと笑いながら、私を罵倒し、スフィアに近づけないようにする令嬢が、大量に現れた。
……スフィアのこと、平民だ!ってバカにしてたくせに、手のひら返しがすごいなぁ。
私は、どこか他人事のように、言葉を聞いていた。
だって、スフィアが私を拒絶するはずなんて、嫌いになるはずなんてないって、そう、思っていたから。
そして、スフィアと会えない日は続いた、ある日のことだった。
「……スフィア!」
いつものように、罵倒してくる令嬢たちを適当にあしらっている時だった。
そこに、偶然、スフィアが現れた。
けれど……スフィアは、一度だけ、こちらに視線を向けたあと、取り巻きと思われる令嬢と、去っていった。
スフィアは、声を出すことすら、しなかった。
え、なんで……スフィア?
「皆様、今のを見ましたか?」
「ええ!実に滑稽ですわ!」
名も知らぬ令嬢たちが、私をバカにするように笑っいた。
でも、そんなことはどうでもよかった。
ただ、スフィアの行動だけが理解できなかった。
出会ってから、話したのは、たった数日、だけど、彼女の色んな部分を見てきた。
素直で、純粋で、臆病だけど、芯が強い。
私に向けてくれた好意も、彼女の本心だと思っていた。
でも、それは、間違っていたとでも言うのだろうか。
私は、令嬢たちを置いて、その場を去った。
今だけは、どうしても一人になりたくて、足は、人気のない方に進んだ。
校舎裏の影になっていて、木々が生い茂っている見覚えのある場所。
スフィアと初めて話した場所。
なぜよりにもよってこの場所に来てしまったのだろう。
「……スフィア。」
信じたくない。
けれど、どれだけ考えたって答えは出なくて。
目から涙が溢れていくのを感じて。
ただ、苦しみに苛まれるだけで。
でも、そんな私の耳に、誰かの声が届いた。
「あ、いたいた。ちょっと探したんだよ?」
それは、どこか聞き覚えのある声だった。




