7話 親睦会
その二日後、予定通り、聖闇の渓谷で親睦会が行われることになった。
今日は、基本的に、王子たちについて行動することになっている。
まあ、ただの屋外での立食パーティーみたいなものだし。ちゃんと大人の護衛もいるから、暇なだけなんだよな。
「今日は入学したばかりで、不安も大きい中での親睦会だが、これから五年間、共に学園で過ごすのだから、仲を深めるための第一歩として、この親睦会を楽しもう!」
第一王子が代表として、挨拶をする。
第二王子は、年齢は同じだけど、一応次男だから、こういう場には、だいたい第一王子が立つ。
もし、第二王子が王太子になったら、変わるかもしれないけど。
やっぱり、二人の不仲説は、王位継承権のことも関わってるのかな。
そんなことを考えていると。
「ご挨拶お疲れ様でした、第一王子殿下。」
こちらに近づいてきた第一王子に、飲み物を渡す。
「ああ、ありがとう。」
さて、今日は第一王子のこと、よく観察してみなきゃな。どうせ、一緒に居なきゃいけないんだし。
「今日は、なるべく多くの者と関わりたいと思っているんだ。とりあえず、平民も含め、ほとんどの者と顔見知りになっておきたい。」
なるほど。とりあえず面倒くさいことだけはわかった。
「良いご考えだと思います。」
こういう時って媚び売っておいた方がいいのかな。気に入られたい訳でもないけど、とりあえず褒めておけば大丈夫かな。
そんなことを考えている間に、第一王子は貴族への対応を始めていた。
話は盛り上がっているはずなのに、どの人でも、しっかりと同じくらいの時間でしか話していない。それが、高位貴族であっても平民であっても。
……この人は何がしたいんだろう。
王太子になるためというなら、平民とも話すのはともかく、自分を支持してくれる貴族の令嬢令息ともっと話した方がいいはずなのに。
「ノルディック侯爵令息は、どのようにお考えで?」
俺は、この人のように、器用に人とコミュニケーションをとることは、できない。
「そうですね。俺も……」
自分に投げかけられた言葉に、適切な言葉を返すだけ。そこには、なんの信頼関係もできることはない。
「リュシオン、すこし休憩しよう。あちらの方は人気が少ないようだし。」
そんなことを考えていたからか、つい感情が先走ってしまったようだ。
「あなたは……何がしたいんですか。」
第一王子がこちらを振り返る。
自分でも驚く程に無機質でか細い声だった。
ほかの人には、聞こえていなかったようで、第一王子以外には、動きを変える人はいなかった。
なぜ、声に出してしまったのだろう。
後悔がすこしずつ、積もっていく。
「……なぜ、か。」
彼は、驚いたような、すこし納得したような表情を浮かべていた。
その時だった。
いきなりどこからか、ただならぬ悲鳴が、聞こえてきたのは。




