3話 噂
「なんかめんどくせぇことになったな。」
シアンがため息をつきながら言う。
「そうだね。だけど、侯爵令息である限り、王族と関わるのは避けられないことだしね。」
「それはわかってる、けど。こんながっつり関わるなんて思ってなかったしな。」
「それは確かに。……そうだ、アイル。」
急に呼ばれたアイルがすこし戸惑いながら、返事をする。
「はい、どうかされましたか?」
「第一王子殿下と第二王子殿下、お二人について調べてほしいんだけど。」
「なるほどな。確かに、入学までに知れることだけでも知っといた方がいいよな。」
ふと、イリスが思いついたように言った。
「そういえば、王族のお二人の噂は聞いたことがありたますよー。」
え、王族でもそんなのあるんだ。
「なんだそれ、どんなやつなんだ?」
「たしか、第一王子殿下と第二王子殿下は不仲だって噂ですねー。」
「不仲?たしか、王妃様や側妃様の仲はそこまで悪くなかったはずだよな?」
「そのはずですが、あくまで噂なので、どこまでが本当なのか。」
アイルが難しい顔で言う。
「ひとまず、詳しい情報が入ったらお知らせしますね。」
「そうだね、お願い。」
「噂といえば、パーシアン様とリュシオン様についても似たような噂ありますよねー。」
「え?なにそれ。」
「それ、俺も聞いたことありますねー。というか割と有力っていわれてますし、ノルディック家の双子不仲説。」
「「どこが?」」
意外すぎる答えに二人同時にツッコむ。
「そんな噂があるのか。全く事実でないことはわかりきっているが。」
アイルが呆れたように言う。
「うん、まあ、噂の信憑性が低いことはよくわかった。」
「それはそうですけどー。ぶっちゃけなにか心当たりとかはないんですかー?噂になるくらいなんだから、さすがに一つぐらい根拠はあるでしょー。」
「とは言われてもなあ。」
シアンが考え始める、が。
「……あるかも。」
「あるのかよ!」
そんなこと言われても、普通に無意識でやってたし。
「で、その心当たりってどういうものなんですか?」
「ああ、うん。わかると思うけど、社交パーティーとかに出てる時って俺とシアン、あんま話してないんだよ。というか、ほぼ話してない。」
「そういえば、そうだな。」
「確かに。あまり話しているのをお見かけしませんね。」
「そうそう。俺が猫かぶってると、違和感がひどいってシアンに文句言われるからさ。あんまり話さないようにしてるんだよね。」
「なるほどー。それが噂の真相ですか。納得しましたー!」
イリスが笑顔でうなずく。
「……でも、いいかもね、それ。使えそう。」
「……今度は何考えてんだよ、シオン。」
「使えるものは使ってみようと思って。協力してよ、シアン。」
そして、シアンが呆れたように頷いた。




