3話 魔法の儀式
朝起きたらすぐに、昨日の夜に話していた、儀式の準備が始まった。
「リュシオン様、髪を整えますのでこちらにどうぞ。」
「お願い、イシア。」
彼女は俺の家、ノルディック侯爵家の使用人だ。
彼女は基本的に俺に仕えてくれていて、彼女の他にもアイルや、パーシアンに仕えているイリス、アルネがいる。
「本日は儀式の日ですが、すこし緊張されているご様子ですね。」
「そうだね。でもパーシアンがいるから、大丈夫だよ。」
基本的に儀式は一人ずつ受けるものだ。ただ、双子ということもあって、俺とパーシアンは一緒に儀式を受けることになっている。
「この国、というか世界では双子は縁が深いものとされているんだよね。髪色が対になってたり。」
「そうですね。双子に生まれた人の子供は、その双子の目の色を受け継ぐ、という性質も、あるそうですよ。」
わかりやすく例えて言えば、パーシアンの子は俺の目の色をもって生まれるってことかな。
不思議だよね。どういう遺伝の仕方してるんだろ。
なんか神話とか関わってそうだよね。完全に世界観は、ファンタジーだし。
「リュシオン様、準備が出来ましたよ。」
「あ、うん。ありがとう。」
そして俺たちは儀式を行う、教会に着いた。
「前世で見たファンタジー系のマンガで見た通りの場所だね。」
小声でパーシアンに話しかける。
「そうなのか、俺は前世ではあんまそういう系のマンガとか、読まなかったからな、わかんねぇわ。」
へー、たしかに好み分かれるよなぁ。あのジャンル。
今度、パーシアンの前世の話、聞いてみようかな。
「パーシアン、リュシオン、行ってらっしゃい。」
今世の俺たちの父、フォルワード・ノルディックが言う。
「「行ってきます、父上。」」
ハモったな。前世の性格にけっこう影響受けてるはずなんだけど、やっぱり、双子だからかな。前世を思い出す前から、割とあったみたいだし。
そして、俺たちは神殿の中に入った。
「パーシアン様、リュシオン様、どうぞこちらへ。」
教会の中央に二人で立つ。
「これよりパーシアン・ノルディック、並びにリュシオン・ノルディックの儀式を行う。」
神官が言葉を唱え始める。
「神よ、神託をお授けください。」
私たちを光が包む。
完全に光に覆われる頃には、もうパーシアンも見えなくなっていた。
赤、青、緑、黄、白、黒、それと言葉にするのが難しい、不思議な色の光。
強い光なのだけれど何故か、眩しいとは感じない。
それに心地よい、と感じる。
そして俺は、光に身を任せるように目を閉じた。
リュシオンの話し方は、前世と同じなので、一人称が私から俺になっただけでほとんど変わっていません。