1話 悩みごと
あれから、8年。
俺とシアンは、修行をしたり、社交界の場に出たり、割と忙しい日々を送った。
そして、学園入学まで、三ヶ月を切った。
「……あー、社交界めんどくさい。」
「同感だな。なんでこんな自己中しかいねぇんだよ。これじゃ信頼出来るやつなんて見つかるわけねぇだろ、シオンじゃねぇけど。」
「うるさい、シアン。俺だってなりたくてこうなったわけじゃないし。」
実を言えば、8年という時が経っても、俺の人間不信は治らなかった。むしろ悪化したような気すらする。
「リュシオン様は、直したいんすかー?その人間不信の性格?」
アルネが言う。
「そうだね、割と罪悪感すごくて嫌だし。四人が大丈夫だったから、いけると思ったんだけどね。」
「あくまで俺の意見ですが、そこまで深く考えられる必要もないと思いますよ?それは、ここで育ったからこそのものでもあると思いますし。」
アイルの答えにすこし納得する。
「うちで育ったからこそ、か。確かに、あの権力欲がない父上が当主だからね。」
「それはありそうだな。あれでよく侯爵家筆頭になったよな。」
「それでも、侯爵様の能力的には、相応のものなのですよ。この地位は。」
「それは、さすがにわかってるよ、イシア。」
社交界の場に出るようになって、貴族と話すようになり、父上の優秀さを改めて実感した。
「都合のいいように繕うところは、シオンと一緒だよな、父上も。」
「奥様やアシュエレン様もしてますよねー、あれ。というか、むしろやってないのがパーシアン様だけですし。」
「なんだよな。便利なのはわかってんだけど、めんどくせぇし、基本シオンがやってくれっから、やろうと思えねーし。」
「めんどくさいのはめんどくさいけど、俺は慣れたかな。俺、昔からシアン以外には全員やってたし。」
ぶっちゃけ俺に関しては、四人が増えただけマシってレベルだし。
「懐かしいっすねー、繕いまくってるリュシオン様。というか、素がそれなのに、よくあれまで変えれますよね。」
アルネ、やっぱり発言に躊躇がなくなってるよね。
「だから、慣れだよ。やってれば癖つくし。」
「それがダメなんじゃねぇの?」
「シアン、これがないと次は社交界で生きていけないんだよ。でも、それでいうと、父上たちは人の選別が上手いのかな。」
そんなことを話していると。
「お二人とも、そろそろお時間です。」
アイルに言われて思い出す。
「あ、そういえば、父上に呼ばれてたんだっけ。」
普通に忘れてた。
「父上、割と急に呼び出すよな。今日はなんの話なんだろうな?」
「特に内容を聞いた訳ではありませんが……時期的に学園のことでしょうか。」
「まあ、行ってみればわかるし、行ってみようか。」
そうして、俺たちは、父のいる執務室に向かった。




