34話 結末
「で、結局お二人は何がしたかったんですかー?」
アルネは、気が抜けたようにつぶやいた。
「そうですね。いくつかはありますが……まずはは、俺たちの頼みを聞いて、本気で戦ってくれるか、というところですかね。」
「俺たちが行動する時、融通の効くやつらじゃねぇと面倒だなって話になったんだよ。昔から父上に俺たちの世話を任されてるってことは、これからもそうなんだろ?」
「おそらく、そうかと。特に変更する利益もないと思われますし。」
「なら、良かったです。そうでなければ、ここまで大掛かりにする必要がなくなってしまいますし。」
ただ、実力を見るだけなら、上手く状況を作ればできたけど、心情的な部分を見るには、追い込まなきゃいけないかったんだよね。
無駄にならなくて良かった。
「それで、他には?まだ何かあったんですよねー?」
イリスが聞いてくる。
「実力を見たかったんですよ。具体的には、暗殺技術、気配を消したり、小物の使い方とか、ですかね。」
魔法もかなり使えるみたいだったし、思った以上に成果が得られた。
「ええ、それらの技術は、昔、暗殺者となるために、かなり厳しく鍛えられたので。」
アイルが思い出すようにつぶやく。
「そこで、お願いがあるのですが。俺たちにその技術を教えて貰えませんか?」
「「……え?」」
息ぴったりだな。というか普通に予想されてると思ってたんだけど、割と驚いてるな。
「意外だな、予想されてると思ってたんだが。」
シアンも同じように考えていたらしい。
「いや、教えてくれと言われるとは、思ってもいませんでした。侯爵様にも、その力を自分のために使って欲しい、と仰られただけだったので。」
そうなんだ。それで同じようなことになると思ってたのかな。
「とにかく、教えて貰えるんですか?父上にはちゃんと許可を取るつもりなので、そこなら、大丈夫ですよ。」
「……なんつーか、リュシオン様って意外と押しが強いですよね。」
「おい、アルネ。」
「間違ってねぇし、こいつは昔からこんなもん。」
こんなもんとはなんだ、こんなもんとは。
思わず、文句を言いたくなるのを抑える。
「わかりました。教えますよ。ただ、厳しくやるので覚悟はしておいてください。」
思ったよりすぐに、了承してもらえたな。
「わかってるよ。頼んだよ、四人とも。」
「「!?!?」」
……みんなめっちゃ驚くじゃん。なんか申し訳なくなってくるレベルなんだけど。
「……戻しましょうか。」
「いやっ、そういうことではなくて!すこし驚いただけで慣れますので、大丈夫です!」
珍しく、アイルが慌てている。
「アイルさん慌ててんのめずらしー!」
「いつもと違うと面白いものですねー。」
追い打ちをかけるように、アルネとイリスに茶化されて、アイルが真っ赤になっている。
「二人とも、その辺にしてあげてください。」
そう言いながら、イシアもめっちゃ笑ってるけどね。
「割と、いい結果になったんじゃね、シオン。」
四人を横目で見ながら、シアンが話しかけてくる。
「そうだね。想像以上かも。」
欲しかった結果も全て手に入ったし、思っていた以上に、おもしろくなりそう。
「シアン、俺、強くなるよ。守りたいものが増えてしまったみたい。」
シアンが目を見開いた後、すこし笑って話す。
「負けねぇよ?守りたいものがあるのは俺だって同じなんだから。」
「確かに、そうかもね。」
『見方を変えれば、思ったより、悪いものではないんじゃないか?』
かつて、私が愛した恋人の言葉が、よみがえる。
「じゃっ、そろそろ帰るか。」
何かを信じることを、悪くないことだと教えてくれた君を、もう一度信じられたから。
また、話したいことが増えてしまった。
「……シオン?」
「なんでもないよ。帰ろっか。」
少しずつ、進んでみよう。
いつか、また、出会えることを信じて。
これにて1章完結となります!




