21話 諦め
火魔法をいくつか打ち込むと、男は呆気なく気絶した。
その流れで下っ端っぽいやつらにも風魔法を打ち込み、気絶させた。
「シアン、無事?」
「いや、それよりお前まず、一人で乗り込んでくんなよ!」
「えーだって普通に大丈夫かなって、慢心する気はないけど、そんな弱くないよ俺たち。」
アイルたちを呼んだとはいえ、待ってたら本当にシアンが危なかったかもしれないし。
自分の行動を後悔する気はない。
「ちゃんと挑む相手は考えてるよ。だから、そんなに心配しなくても……っ!」
不意に上から気配を感じ、振り向く。
「あー気づいたぁ?さすがそいつらを一撃で倒すだけはあるねぇ。」
誰だこいつ?
明らかに強い。認めたくないけど、勝てる可能性の方が低い。
どうしようかな。このままシアンと無事に帰れる気がしない。
何とか見逃してくれたらいいけど。
「ねぇねぇ君さー、強いよねぇ、君のこと気になるなぁ。」
どうやらこの男の興味を引いてしまったらしい。
だからといって、どうにもできないのだが。
「ねぇ君、俺と勝負しない。命懸けの勝負。」
……何を言ってる?こんな子供相手に、本気で?
「言っておくけど、本気だよ?それに君に拒否権はないよ。断るなら、そこの君のお兄ちゃんもろとも、君を殺すから。」
どうやら本気みたいだな。それにシアンを殺すと聞いて、俺も黙っている訳にはいかない。
「いいよ、やろっか。」
「シオン!」
止めようとしてももう無理なんだよ、シアン。
「何?シアン。」
「お前がわざわざ戦う必要なんて……」
「あるよ。あいつはもう魔法陣に妨害をしてる。だから、アイルたちも簡単には来られないし、俺が戦うしかないの。」
俺がシアンを守らなきゃいけないから。
シアンが生きられる確率をすこしでも上げるために。
「……ごめんね。シアン。」
もっと一緒にいたかったけど、多分もう無理だ。
……約束、守りたかったな。




