1/66
プロローグ
初作品です!!
寒い。
身体が思うように動かない。
ぼんやりとする頭が徐々に現実を私に見せる。
あぁ…私死ぬのか。
笑えねぇなと苦笑する。
だんだんと死が近づいているのを体現するように、
視界に映る大切な人の顔すらも少しずつ薄れていく。
まだ一緒に生きていたかった。
まだあなたの笑顔を見ていたかった。
そんな私の思いに反するように私の意識はだんだんと遠くなっていく。
家族を失った後の私を救ってくれた、幼なじみと恋人の存在が、どれだけ私を救ってくれたのだろう。
感謝してもしきれなくて。
あなたたちを残していくのは嫌だな。
死ぬのは怖いな。
でも……どうせ死ぬのが変わらないなら、
せめて…笑顔で死のう。
私のせいであなたたちが泣いているのを見たくは無い。
最後の力を振り絞って、無理やり口角を上げる。
ありがとうって幸せだったよって伝えたくて、でも、私の言葉は声にならずに消えていく。
来世でも会えるかな。
一緒にしたいことも、一緒に見たいものも、まだたくさんあったのに。
全てを後悔しきれぬままに私は意識を手放した。