東洋からのお客様
「お、お、お、おろちかぁ?!?!?!?!」
隊長の持つ籠の中を凝視し、かぁが驚愕している。
もちろん、隊長にはカラスがかぁ~~っと鳴いたようにしか聞こえていない。
3人の脳内にかぁから伝心(脳内会話を伝心と呼ぶことにしました。)が届く。
『あの黒蛇は東洋のいにしえって言うか、神話級って言うか、東洋ではヨウカイとか怪異とか化け物とか、そんな感じで呼ばれている建国の物語にも登場しちゃう蛇なんだけど、根は良いやつなんだよね。すっごい、昔から友達だけど、今はゆっくりどこか山奥で暮らしていたはずなんだけどな。。。あ、おろちから念話が来た。』
かぁは旧友おろちと思われる黒蛇を一生懸命見つめている。アンとむぅは念話の邪魔にならないようにと気遣い、隊長の方に挨拶をした。
「いらっしゃいませ、こちらは魔法使いアンのお店です、商隊の方とお見受けいたしますけれど、どういったご用件でしょうか。」
アンから声をかける。その間もかぁと黒蛇は見つめ合っている。
「アンさん、初めまして。私は商隊の隊長、オノと申します。こんな朝早くに申し訳ございません。早急に相談に乗ってもらいたいことがあり、参った次第です。早朝の訪問に知らせも出さずに直接訪ねて来てしまい無礼とは存じますが、事態が事態なだけに。。。本当にすみません。。。。」
どんどん言葉が尻すぼみしていってしまうオノさんを気の毒に思い、アンから申し出る。
「オノさん、もしかして、その籠の中にいる黒い蛇のことがご相談ごとでしょうか?」
オノの顔がみるみる皺くちゃになり、今にも泣き出しそうである。
「そ、そ、そうなんです。。。この黒蛇ちゃん、我々の商隊のラッキーシンボルとして大切にしておるのですが、どうもここ数ヶ月全く元気がなくて、動きも悪く、もうもう、どうして良いものかと、、、。」
「え?ラッキーシンボルって??」
アンは、全く予期していなかった方向での話で戸惑ってしまった。
『薬の原料として買ってほしいとか、そういった感じの話かと思っていたわ。。。黒蛇ちゃんって、、、どうしましょう。。。』
オノが続けて事の顛末を話し出した。