商隊が来る!
ちょっとずつ、物語はすすみます。
どうぞよろしくお願いいたします。
アンは魔法使いだ。
それも、一般的な人間には気がつかれないが、途轍もない力を秘めた大魔法使いである。
今回、町に寄る商隊に魔法使いがいるかどうかはまだわからないけれど、魔法使い同士が出会うとそれはそれは賑やかな出会いとなる。
それというのも、魔法に関わる生き物の絶対数が少ないため、希少種同士お互いの存在に悦びを覚えるのだ。今回は東から来る商隊ということで、益々わくわくしているアンであった。
東の国は大昔、東洋と呼ばれていた。
むぅの血にも東洋の血が入っているし、かぁに至っては東洋の神話級の生き物であるらしい。
本人(本鳥?)は『僕なんて、年老いた無能なただのカラスですよ』と嘯いているけれど。。。
アン自身も、瞳も頭髪もむぅとかぁとお揃いの真っ黒色である。
黒色の毛や瞳を持つ生き物は東洋出身であるというのが一般的な人々の認識なのだ。
しかし、これはちょっと違っている。
黒色にも色々あって、東洋の国の黒色と、魔力を持っている生き物の黒色とは違うのである。
後者は特別黒い、真っ黒い黒色なのだ。
この特別黒い黒色は、どうやら魔力持ち同士でしか解らないようで、町の人たちにはなんともない普通の黒に見えているということである。
たまにカンの強い婦人がむぅを見て、
「なんて綺麗な黒猫ちゃん!」
と、ほめてくれるのだけれど、その程度である。
むぅは、まんざらでもなさそうに、
「なーーーーーん♪」
と、婦人にスリスリしたりして、接客に励んでいる。(エライ!)
さて、本題の商隊である。
商隊の所属するそれぞれの地方により、欲しがる物品がことごとく違うのである。
アンたちの住む町は世界のど真ん中にある中立の立場の町で、東西南北の真ん中辺りに位置している。
何かと便利なので、世界中の本や食材が集まる貴重で稀少な場所なのだ。
とある国における首都とは違い、交易が盛んな独立した町として中立を貫き、東西南北で争いがある場合でも、どこにも加勢もしないし、批難もしない。
そういう町なのである。
そんな町に商隊が来るとなると、なにかしら目的があってのことというのが、この世界の暗黙の了解ごとなのだ。
しかも今回は東からの商隊だ。
楽しみで仕方がない、アンなのであった。
「かぁ、今回の商隊は何を買い付けに来たのかしら?」
「う~~~ん、そうだなぁ。なんでも、異常気象で主食にしている植物が上手に育たず、大飢饉かも!なんて噂を聞いた気もするんだけど、いつの記憶だったかぁ。。。」
「また、かぁのお年寄りギャグが始まったにゃ(笑)」
むぅが楽しそうに笑って言う。
アンは、こんな些細な会話が何より楽しく、幸せだと思っている。