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第六話 怪物、魔法陣を見る


さて、どうしたものか。


二人は住宅街から少し離れ、錆びた遊具がちらほらと設置された寂れた公園に移動していた。

式神になると言ったはいいもののまさか変な魔法陣を地面に描き出すとは思ってもいなかった。


公園に移動してから一時間近くは経っただろうか。その間少女はぶつぶつと何かを呟きながら魔法陣を描く。周りに人は見えないからまだ良いが、日暮れの公園で木の棒を持って地面に馬鹿デカ魔法陣を描く少女は不審者そのものだ。


というか魔法陣えらく本格的だな?!

幾何学模様の図形に古語がつらつらと並び書かれており、地面に描かれただけであるはずがどこか神秘的にも感じる。


どうにも式神化の儀式に必要だそうで、式神になると言った手前やめてくれとも言いづらい状況だった。しかも、見るからに上機嫌で描き始めたし。


これから何をさせられるんだろう。調伏の儀とか言い出してリアルファイトでもするのか…

そんなことになったら目も当てられない惨劇が繰り広げられることになるが。一撃でスプラッタ映画が開演するんだが。


なんて日向が考えているうちにも洋子はテキパキと何らかの準備を始める。


とりあえず腕を組み品定めをするように魔法陣をしばらく見ていると、洋子が自信ありげな表情でこちらに向かってくる。


「じゃあこの陣の中央に立ってちょうだい。そしたら式神化の儀式を始めるわ!」


「ちょっと待って。式神化の儀式ってなんだ?そんな当たり前のように言われても知らんぞ。というか式神ってなにをするんだ?」


今更ながら日向は式神についての質問を洋子に投げ掛ける。

洋子は知らなかったのかと若干あきれた表情をしつつ説明を始める。



「式神というのは退魔師の術の一つで、妖を自分の僕として使役することよ。術の中でも人気で大抵の退魔師は式神を持っているものよ。」

私は持ってなかったけど。と洋子は心の中でつぶやき説明を続ける。


「式神になった妖は討伐対象ではなくなるけど、式神化の時に行った契約の縛りによって契約者には攻撃できなかったり人を食べられなかったり制約が生まれるわ。式神と退魔師とのカ量差が開くほど制約は力ある方に有利な契約となるし、相性が悪くても良い契約を結ぶのは難しくなる。例外はあるけどね。」

右から左へと流れているように見える日向の様子に、洋子は少し考えるそぶりを見せる。


「うーん、例えば安倍晴明の十二神将なんかが有名ね。それぞれ各地で暴れまわる妖だったけど安倍晴明に敗れ式神になってからは人を食べることもせず安倍晴明が亡くなった今も式神として人々を守り続けてくれているのよ。」


すらすらと式神化の説明をする少女に設定作りこんでるなぁと感心する一方でとある人名に日向は反応する。

安倍晴明は聞いたことがあるぞ!てことはやっぱり異世界転生なんてことはなく現実世界に怪物として転生しちまったのか…


実は現代風の異世界で魔法や超能カバンバン使える世界ですなんていうー緩の望みが絶たれた日向は遠い、目をしながら魔法陣の中に立つ。


「じゃあ始めるわよ」


日向が定位置に立ったことを確認すると洋子は式神化の儀式を始める。

洋子は魔法陣の前に立ち、懐から式札を取り出すと日向に向ける。呪文を唱え始めると魔法陣も呼応するように光を帯びる。


え?光ってね?

予想外の反応に魔法陣を見ながら固まる日向。


魔法陣の光はますます強くなり文字や図形が規則性をもって動きだす。

困惑する日向が魔法陣から出ようと身体を動かした瞬間、更に光は強まり日向を覆い隠す。



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