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第1話 告白

「あ、あのっ! 佐山さやま……さん。好きです……!」


 放課後。俺は隣の席のクラスメイト、佐山さやま朱梨あかりを呼び出して告白をした。

 正直OKされるとは思っていない。でも、どうしても気持ちだけでも伝えてから彼女のことを諦めたかったから告白したのだ。


 一分ほど沈黙が続いたが、そろそろ我慢出来なくなったのだろうか。

 いきなり朱梨あかりが声を出した。


「……その後は?」

「……へ?」


 何のことか分からず焦っていると、彼女は呆れたようにため息を付いてから言った。


「付き合ってください、とか、何か無いの? それだけだと気持ちを伝えるだけになっちゃうけど」


 どうやら彼女は大事なところを言い忘れていると思って、教えてくれたようだ。

 でも違う。俺は本当に気持ちを伝えに来ただけなのだ。余計な事を言って、傷つきたくない。


「無い。どうせフラれるのに、そんな事聞くほどバカじゃない。……それじゃ、俺は帰る。わざわざ来てくれてありがとう」


 そう言ってその場を立ち去ろうと朱梨あかりに背を向けると、肩に掛けたカバンが後ろに強く引っ張られた。


「どうせフラれるとか言って、カッコ付けて逃げて。それ、恥ずかしいと思わない?」

「いや、全然。これは自分の為でも朱梨あかりの為でもあるんだから」


 自分でもダサい事をしているのは分かっている。「好きです」まで言ったんだから、続けて話せば良いだけなのに。


「何がアンタと私の為よ。どっちの為にもなってないでしょ」

「……どういう事だよ」

「私が結翔ゆいとの事、好きっていう可能性が0とは決まってないじゃん」


 何か察して欲しいのか、チラチラとこちらの顔を見ながら言葉を続ける。


「だから、続き聞かせて欲しいんだけど」

「イケメンのスポーツも勉強も出来る先輩フッといてよくそんな事言うよな。そんなに断るの、楽しいのか」

「違うっ。そういう訳じゃ……」


 可能は俺が言った事を慌てて否定すると、申し訳なさそうにうつむいた。

 好きな相手が自分の言葉で悲しそうな表情をしたのだ。こっちが相当悪い事をしたみたいな気分になってくる。


「……好きです。付き合ってください」


 俺は朱梨あかりと目も合わせずに呟くように言った。

 どうせフラれる。聞きたくなかったのにな。


 なんて思いながら返事を待っていると、予想外の回答が返ってきた。


「《《今はまだ無理かな》》」

「……え?」


 ということは。


「私の事、一回でもドキッとさせられたら付き合ってもいいよ」


 やる気出てきた。

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