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君を想う

作者: 白北 影人

登場するのがナニなのか

答え合わせは後書きで



僕は君を見ているのが好きだ。


君はいつも同じ場所で、心地のいい声で歌う。

ただその姿が好きだ。


僕は部屋の隅にたって、部屋中を見渡し続ける。


僕は部屋の隅から君の姿を時折うかがう。

君は僕の視線に合わせて少しだけ歌を変えてくれる。

それがたまらなく好きだ。


僕達の間に会話はない。

ただ、視線と歌を交わすだけ。

ただそれだけであったけれど、それがたまらなく嬉しかった。



僕達はずっとずっとその関係を保っていた。

僕が視線を向けたときだけに君が特別な歌を歌う。


ずっとずっとかわらない。



そう思っていた。



奴が君から歌を奪ってしまった。


奴は君のいつもの場所の近くで、君に目をくれずに全てを見下ろす。

何も語らずに、ただこちらを見下ろし続ける。


奴が来てから僕は、ただ立っているだけでよくなった。

部屋中を見渡す必要はなくなった。


僕はただ部屋の隅に立ち、君を見続ける。

歌わない君を見続ける。


歌わない君はいつもの場所で、だけど所在なさげに立っている。

その姿は哀しげで、僕は君を歌わせてあげたかった。


だけど僕の視線は届かない。

歌わない君は気づかない。

それがとてもとても哀しくて・・・悔しくて。


僕はただ君を想う。

歌っている君を想う。

君がまたいつか歌えるように、僕は想う。



君よ。君よ。


僕の遠い記憶にある、歌っている君の姿を、

僕が遠い未来に見る君の姿と重なるように、想う。


君よ。君よ。

おわかりになりましたか?

答え合わせです。

僕=扇風機

君=風鈴

ヤツ=クーラー

でした。


お楽しみいただけたら幸いです。

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