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第4話 勘十郎、故郷の妹を想う

ある朝…




すずめの朝は早い。4時には起きて支度をし、5時には旅籠の前を掃除している。




「っしゃー!掃き掃除終わり!今度は食堂を掃除だー!」


仕事前にも関わらず、すでにメイド服ばっちりなのだ。すずめははきはきと活発なタイプなので、周りの住人からもウケがよい。




「すずめちゃん、おはぎあるからあとで食べなね。」


「いつもありがとうおばあちゃん!おばあちゃんのおはぎ大好きだよ!」


「あら、すずめちゃん、今日も元気ね。ねえ、聞いた?4丁目の奥さん、旦那さん浮気してたみたいよ~?」


「え?そうなんですか?仲良かったから意外ですね><」


「私も知りませんでした!」




情報交換もここで行われている。


もはや彼女にこの町で知らないことは無いといっていいかもしれない。




「おはよう、すずめさん。」




掃除用具の片づけをしているすずめに、勘十郎が来て声をかけた。




「あ、勘十郎さま、おはようございます!今日はお早いですね!」




勘十郎は寝ていなかった。朝まで家老と話し込んでいたからである。




「顔色が悪いですね、、、よく眠れませんでしたか?」


「そうですね、少し考え事をしていて」


「なにかお悩みですか?すずめがお聞きいたしますよ?」


「いや、その」


「勘十郎さま、昨日は夜遅くまで誰と話していたんですか?」


「…いえ、昨晩は一人でしたが?」


「そうですか?わたしが夜忍び込もうとしたら、だれかと話し込んでるようでしたよ??」


「ひ、ひとりごとです」




勘十郎はマズイ気がした。まさか幽霊と話してるなどとは言えない。


完全にオカシイ人だ。そんな扱いをされては困る。


彼はそんなことで頭いっぱいであったが、すずめが忍び込もうとしたことまでは頭が及んでいなかった。よっぽどこちらのほうがオカシイのだが。




「悩み事がおありなんですね?」




勘十郎はすずめの圧力に屈した。


国を出た後の、妹の安否が気になることを話した。


名を、篝~かがり~。4つ離れた妹とは仲が良く、10年前、事故で勘十郎たちの両親が他界したのち、二人三脚で頑張ってきた。


今頃、妹はどうしているだろう。ちゃんとご飯は食べているだろうか。


と、話すと、すずめは目にいっぱいの涙を溜めていた。




「ぞうだっだんでずね。ずび~。二人ぎりで大変だいべんでじだね。」


「それほどではありません。二人で楽しく生きてきましたから。」




勘十郎が布巾を差しだすと、すずめは思いっきり鼻をかんだ。




「あっと、これは洗って返しますね」


(よっしゃ!勘十郎さまの私物ゲットぉ!コレクションに追加しなくちゃ)




心の声が漏れ出ていた。勘十郎には聞こえていない。




勘十郎は知っていた。勘十郎たち兄妹だけでなく、3姉妹も親がいないことを。


3人が幼いころに死別し、女将が身受けをしたことを。




「あ~わたしたちはいいんですよ~。ババアが母親みたいなもんです。ババアですけど。」




どこからかタライが飛んできてすずめの後頭部にあたる。かあん。


それはもういい音がした。


すずめは別の意味で涙を流した。




「っく!しまった。話しているのがバレたか。ごめんなさい、勘十郎さま、仕事に戻りますね!」




さも残念そうにすずめは旅籠の中へ入ってゆく。


そのあとを遅れてするめがパタパタと続いていった。




おわかりいただけただろうか。


初めから最後までするめは居たのである。




妹がどうしてるか気になりますか?


次で出てきますよ。


では、続きます。



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