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第3話 家老、するめに再会す

一方、家老はホテル・座・まんはったんへ来ていた。


「ふうむ、やっぱりあの女将、なんか見覚えがあるのう。」


遠目からのぞき見する家老。

完全にストーカーだが、見えない幽霊なので問題はない。


「あれ?おじいちゃん?」


ストーキングはすぐさまバレた。

するめが斜め上を見上げて家老に声をかける。


「おっと、するめちゃんではないか。元気にしとったかい?」

「元気ですよ~。おじいちゃんこそ、ちゃんと食べてますか~?前より痩せてませんか~?麦茶どうぞ~。」


噛み合ってるか噛み合ってないのかわからない会話。そもそも、するめと家老は毎度毎度、顔が向いてる方向が違うのである。

家老は、女将のことが気になっていることを告げる。


「あら~、おじいちゃん、もしかして、恋なんじゃないですか~?このこの~、隅に置けませんね~。」


そういって、女将のことを話してくれるするめ。

若くしてまんはったんの主人に嫁ぎ、主人が早逝し、一人で切り盛りしてきたこと。

そんなすごく忙しいさなか、すずめ三姉妹を拾い、ここまで育ててくれたこと。

するめの話からは、女将への愛がいっぱい詰まっていた。


「そうか。わし感動した。すごい女将なんじゃな。」

「そうですよ!」


うんうんと頷くするめ。ふと気づく。


「おじいちゃんが来てるってことは、もしかして勘十郎さまも来てるの?」

「来とるよ~?プリンセスホテルにおる~。」

「プ、、、プリンセスホテル!?」


普段のするめからは想像できない大声。

そして周囲もざわめきだす。プリンセスホテルだと・・?

なんやて?あのホテルか?


「あわわわ、場所を変えましょう。」


急いでその場から逃げる二人。


「ダメですよ!うちでプリンセスホテルって言ったら禁句なんですから!」


実際問題、声に出したのはするめのみである。


「プリンセスホテルはうちとはライバルなんです!あとから出来たのにあんなに繁盛して!しかもうちとそんなに離れてないから、お客さん取られてるし!」


ふんふんと興奮して話すするめ。

言わなきゃよかったと家老は後悔した。


「そこにいたんですね!するめちゃん!」

「勘十郎さまというWordが聞こえた」


バアンと音を立てて登場するすずめとつばめ。


勘十郎さまのこととあらばホテル中を盗聴しているすずめが聞き逃すわけがなかった。

勘十郎さまが、江戸に、しかも憎っくきプリンセスホテルにいる。

その事実は3人を動かすには容易いことであった。


「絶対プリンセスホテルには負けない!愛しの勘十郎さまを取り戻すのよ!」


今ここに、2つの旅籠の間で、勘十郎をめぐって争いが起きようとしていた。


続く




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